179.アレな大工ギルド
雑貨屋クローバーに商品を搬入した後、俺はリオン君と店の周りの土地の活用について話し合っていた。
紙におおまかな建設予定地を書きこむ。
「旦那、倉庫があれば、今よりたくさん商品が扱える。
このあたりに建てたらどうだろう」
『倉庫番も必要になるな』とタイプライターで打つ。
「鍛冶場をこの辺に頼むよ」
あとは、店をどれくらい拡張するか、だな。
店員も増員しないとな……。
そうそう、ヨツバからリクエストがあったな。
応接スペースと、店内飲食スペースが欲しいらしい。
応接は分かる、でも店内飲食スペース?
本格的に飲食店でも始めるつもりなのだろうか。
俺としては、図書室や研究室が欲しいな。
いや、研究室は森の方が色々と都合が良いか。
大まかな建設予定図が完成したので、ヨツバに確認してもらった後、本職の大工に頼むとしよう。
◇ ◇ ◇ ◇
ヨツバと相談し、建設費は互いに割り勘することにした。
俺が出すと言ったが、これは私の店でもあるのです、とヨツバが譲らなかった。
建設は、町の大工に任せることにした。
大工ギルドを通して依頼を出す形になるらしい。
今からリオン君と、大工ギルドで依頼を出しに行くのだ。
店を閉めてもらい、俺達は立派な2階建の大工ギルドへ足を運んだ。
一応オリバー君に警備を任せることにした。
◇ ◇ ◇ ◇
「ここは奴隷の子どもが来る遊び場じゃねーんだよ!
帰りな!」
入って第一声がこれか。
接客がなっていないな。
俺が社長だったらすぐにクビにするぞ青年。
「旦那、俺……」
「ガキは帰って、ママのおっぱいでもしゃぶってな!」
「ひゃっはっはっは!」
「しかも大魔導士スタイルの猫連れてやがるよ!
貴族様ごっこか? ええっ!」
接客がなってないというか、これはアレだ。
人として問題外ってやつだな。
『こんな所に任せても、ロクな建物を作らないだろう。
エルフの知り合いに信頼出来る大工が居るから、そいつに任せるぞ。
帰ろう』と書く。
大金を王様から貰ったから、せっかく町に還元しようと思い、エルフの大工に頼まずわざわざ来てやったというのに。
こんな不愉快な連中に絡まれるくらいなら、最初からエルフに頼むべきだったか。
オリバー君を連れて来ていたら面倒なことになっていたかもな。
「あん? 今、猫が文字書かなかったか?」
「気のせいだろ、ひっく」
「昼間から飲み過ぎだよオメーさん、げっぷ」
俺達は大工ギルドを出て、森へ向かう。
こんな時の四次元ワープだ。
5秒でエルフの集落に着いた。
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