523.【後日談5】憎しみと愛の献身 その6
□前書き□
※虫食注意。
□□□□□□□□□□□
・肉球魔王様視点
午後の昼寝時の宿屋にて。俺は管理人室のベッドの上ででリリーとくっついてのんびりしていた。
「みゅ~(アウレネにプレゼントあげたのに、受け取り拒否されたにゃ。
一所懸命
「にゃー(そりゃゴキブリ科魔獣は、喜ばれないだろうよ)」
あげるなら、人間が食べられるカラス科魔獣とかだよな。
「みゅ~(仕方ないからおいらが食べるにゃ)」
リリーはベッドの上にゴキブリ科魔獣を並べ、そのうち1つにかぶりつく。
……。
「……みゅ(……う!)」
「にゃー(おい、大丈夫か?)」
「みゅ~(
心配して損した。
ま、リリーは
「猫さーん、昨日くれた化粧品のサンプル余ってますかー……って、うわぁぁあああああ!?」
ヨツバがベッドの上のゴキブリ科魔獣を見て腰を抜かす。
何をそんなに驚いているのやら。
◇ ◇ ◇ ◇
・錬金術師アレクサンドラ視点
店の奥の扉を開く。
だけど部屋は真っ暗で何も見えない。
ふわり。
香水の香りを嗅ぐと、視界が明るくなった。
上質な
「お久しぶりでございます、アレックス様」
「わーい、アレ
ソファーから立ち上がった、当時の姿のままの2人。
ブロンズ髪の姉ヴァニラ、金髪の妹カリン。
そして他の女性スタッフが4人ほど座っていた。
「あぁ、久しぶり」
「さぁどうぞこちらへ」
2人に手を引かれ、俺はソファーに座る。
2人も座り、ヴァニラが体を、というか顔を俺の胸にくっつけてきた。
「すーはー、あぁ、
「ん?」
「お姉ちゃん! 駄目だよー!」
ヴァニラの体を、カリンが引きはがす。
何だったのかな?
「そうでしたわ。アレックス様に見て欲しい物があるのですわ」
「見て欲しい物?」
「例のものをここへ」
『かしこまりました』
女性スタッフが部屋の外へ出て、しばらくすると戻ってくる。
『どうぞ』
「アレックス様、どうぞお納めくださいませ」
「ほぅ、これは……」
ヴァニラが渡してきたのは、人工魔石だった。
なるほど、そういうことか。
この地下空間に居る骸骨達が生産した魔力の流れは、このホステスの建物に集約されているようだった。
集めた魔力を使って、人工魔石を作っていたということか。
つまりこの地下都市は、巨大な人工魔石生産工場というわけだ。
だけど何のために?
「アレックス様のために作り上げた人工魔石ですわ。
これでゴーレム作成の研究がはかどりますわね」
ヴァニラは、成し遂げたぜ、という顔でそう言った。
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