487.【後日談4】ふっかふか


・ヨツバ視点



ナンシーさんに夕飯の買い物を頼まれたから、宿屋から出て、市場に向かう。

メニューは私に任せるとのこと。


何にしようかな。

肌寒い季節になってきたので、温かい物がいいかな。



「みゅ~(モフモフにゃ~)」


「くるにゃ(ふかふかー)」



あちこちで猫たちが道端で互いにくっついて、団子を作っている。

微笑ほほえましい。



「だんご、だんご、だんご、だんご、だんご、大かぞ……そうだ、今夜は肉団子スープにしますか。

白菜に人参、じゃがいもに合いびき肉にそれから……」



宿の人の夕食の分も合わせてなので、結構な量になった。

私は四次元空間が使えるからいいけど、昔はナンシーさんはこれを1人で運んでたみたいだから、大変だったんだなぁ。


私は買い物を済ませ、帰路についた。



◇ ◇ ◇ ◇



・トミタ(猫)視点



夜。

肉団子(野菜香辛料塩分抜き)を食べた俺は宿屋を出て、中央広場に向かう。


会合が始まる前に、敷物を敷いて、その上に猫ベッドを置く。


これは最近雑貨屋クローバーで仕入れた猫ベッド。

その名も『猫を駄目にする極上ベッド』。

さっそく試用してみよう。


ベッドに横になる。



「にゃー(ふっかふかー)」



ふーむ、いい感じの寝心地だ。

布団は上質な羽毛を使っているな。

そしてベッドは多層構造高反発コイルマットレスを採用しているため、まるで雲の上に居るかのような感覚。


噂によれば、ネコ科魔獣がおやつを我慢してまで購入し、他の魔獣と取り合いの喧嘩になるほど、だとか。

さすがに寝る場所が取られたくらいで喧嘩するのは、大人げないと思うけどな。



「みゅ~(どけにゃ)」


「にゃー(あふん)」



白猫のリリーが俺を猫パンチし、俺はベッドから転げ落ちる。

そしてリリーがよっこいしょ、とベッドに横になる。



「みゅ~(ふっかふかにゃ~)」


「にゃー(おい、何するんだ)」



俺はリリーを掴んで、投げ飛ばす。

そしてベッドに横になる。



「みゅ~(何するにゃ)」


「にゃー(それはこっちのセリフだ)」



リリーの猫パンチラッシュを、前足で防ぐ。

しつこいぞ。


俺はリリーに飛びかかる。

そしてリリーを押さえ込む。

3カウントをとり、俺は勝利する。



「みゅ~(まいったにゃ~)」


「にゃー(ったく)」



そしてベッドに戻ろうとしたら、子どもネコ科魔獣が3体、幸せそうに横になっていた。



「みぅー(あぁ~とろける~)」


「まー(あったかいなり~)」


「にゃっ(おねむなの~)」



この子らの親のネコ科魔獣が慌ててやって来て謝罪してきたが、まぁ仕方あるまい。

このベッドはどうやら吸引力が凄まじいみたいだからな。

ベッドは親子に進呈することにしよう。


後日、俺が路上実演したことにより、『猫を駄目にする極上ベッド』の売上が20倍以上になるのだが、それはまた別の話。


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