486.【後日談4】錬金術の神、スキルを作成する その2
スキルを作る場合、製作者と制作スキルをアカシック・レコードに登録しなければならない。
現在アカシック・レコードは、神なら誰でも自由に編集して良いので、理論上、神であるなら誰でもスキルを作ることが出来る。
ただし、無尽蔵にスキルを作ることは鑑定神ソフが禁止していた。
1神につき10まで、としている。
アカシック・レコードはソフの管理外となったが、今でもそのルールが続いている。
昔、無責任に1京以上のスキルを作った大馬鹿野郎が居たらしく、そいつが死んだ時、後始末が面倒だったそうな。
以降、スキルは神が厳格に管理することになった。
スキルの成長は魂の成長そのもの。
大して育てていないくせに数だけ多くても、回収する神様的には旨味が非常に少ないからな。
数が少なくても、極めている数個のスキルの方が尊いのだ。
だから各神はスキルを作って増やすことはほとんどない。
前任者が作ったスキルの管理者を引き継ぐことがほとんどだ。
もっと言えば、担当しているスキルをいくつか消去することもある。
さて、そんなスキル制作の恩恵だが……そのスキルを使った分のMP等が管理者の神に送られてくる。
だから、美貌が欲しい神は美貌を引き換えにするスキルを、金が欲しい神は金を引き換えにするスキルを開発する。
当たり前だな。
俺は今、何が欲しいとかない。
だからスキルを作る理由は、純粋に学術的興味から。
よって研究用に、スキル使用者のデータはいくらか貰うことにする。
それ以外は必要最低限でいいかな。
さて、作るか。
◇ ◇ ◇ ◇
さっそく作ったスキルを、雑貨屋クローバーで売り子をしていたヨツバに渡すことにした。
ヨツバにスキル付与する。そしてヨツバにスキルの説明文を書いた紙を手渡す。
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【等価交換】
自分の金、能力、時間、HP、MPを消費し欲する物を等価交換する。
修得条件:【錬金術師見習い】以上
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【錬金大全】
錬金術スキルの上手な使い方が参照出来る。1回使用10MP。
修得条件:【錬金術師見習い】以上
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【賢者の石】
自らが触媒となり、金属を黄金へ変える。
変換量はレベルに応じて増加する。1回使用100MP。
修得条件:【錬金術師見習い】以上
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【ゴーレム生成】
単純な働きをする人形を生成する。材料は別途必要である。
1時間100MP。
修得条件:【錬金術師見習い】以上
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「猫さん、私を実験台にしようとしてませんか?」
「にゃー(一応、安全確認は済んでるぞ)」
「じゃあ上から順番に使ってみますか。【等価交換】。
私のこの1000マタタビを、オヤツに交換してください」
スキルを使った瞬間、ヨツバは目がうつろになり、雑貨屋クローバーのオヤツ売り場からオヤツを1000マタタビ分持ってきて、自分でレジ打ちした。
「……ハッ!? おお、オヤツが現れてます!
って、時間が経ってる!? 売り場のオヤツが減ってる!?」
「にゃー(そりゃ、等価交換だからな)」
俺は首輪型PCを起動し、店の監視カメラの映像を見せてやった。
「って、これじゃ私が自分でオヤツ買ったのと変わらないじゃないですかー!!」
「にゃー(だって、等価交換だからな。ヨツバがオヤツを買うという過程が無意識下で行われ、結果だけが残る)」
「それ何てキング・クリ○ゾン!? しかもセルフサービスって……スキル使う意味ありますか?」
分からないかな、この凄さ。
「にゃー(例えば、勉強を8時間したいと思った場合、スキルで8時間分の時間と体力だけ消費することで、ぶっ続けで勉強出来て、その結果だけが得られるぞ)」
「お、おう。……無意識下で勉強しても、身につかないのでは?」
「にゃー(そこは心配無い。ちゃんと身につくようにスキルが働く)」
毎日数時間、このスキルを使えば、どんだけ意志薄弱な奴でも自分磨きが出来るんだ。
まぁ、ヨツバはあまり興味無さそうだけど。
「じゃあ、他のスキルも見ていきましょうか」
「にゃー(おうよ)」
そしてスキルの検討が終わる。
【錬金大全】を使ったヨツバの感想。
これ本で出版した方が良くないですか?
【賢者の石】を使ったヨツバの感想。
これ【変性錬成】で、電子構造をいじって金属を金に変えた場合と効果変わらないです。
【ゴーレム生成】を使ったヨツバの感想。
魔獣都市マタタビで作られているゴーレムの方が数万倍性能が良いから、このスキルを使う意味が無いです。
結果、全部役立たず認定された。
酷いや。
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