293.【後日談】【クロスオーバー】にゃんこ祭終わり
屋内とは思えない、高い夜空へ打ち上げられる花火。
赤、青、黄色、紫、緑、橙。
色鮮やかに空に咲き誇る。
ダンジョンマスターも、神も、等しく空を見上げている。
ある者は喜び、ある者は憂いの表情を浮かべながら。
なんて、ちょっと詩的なことを思い浮かべたり。
「きれいだねー」
「幻想的ですね」
「見事な物じゃ」
「あれ、一体どういう原理で出来てるんだろう。
猫さん、知ってる?」
『あれは炎色反応の応用だ。
炎色反応ってのは炎に金属を入れると……』
マック君相手に、花火の説明を軽くエメラルド版に刻む。
なるほどね、と納得して再び空を見上げる。
あっという間に1時間が過ぎ、花火も最後の方になった。
「あー! 空に猫さんが!」
ほぅ、夜空に茶トラの猫が現れた。
いわゆるキャラクター花火というやつか。
複雑な形の物は制作がかなり難しいはずなのだが。
というか、そんな短期間で制作できるものではないのだが。
さすが神様といったところか。
最後の花火も終わってしまった。
「ただいまをもちまして、本日のにゃんこ祭を終了させていただきます。
お集まりのダンジョンマスターの皆様は、気を付けてお帰りください。
繰り返します、ただいまをもちまして……」
祭り終了のアナウンスが流れる。
「えー、もう終わり?
遊び足りないよー」
「ネル姉さんは楽しかったですか?」
「うん! また来ようね!」
「花火、パーシー君と見たかったなぁ」
「アウレネや、起きんか。これ」
「うー、むにゃむにゃ……」
ダンジョンマスター達が帰ったのを確認し、後片付けを開始する。
といっても、神様たちはあっという間に屋台を片付け、散らかったゴミは命君のダンジョンに居る巨大な機械の掃除機魔獣が吸引してしまった。
わずか1分足らずで、元の状態に戻ってしまった。
「では、またな。錬金術の神よ」
「うへへー。ハーディス様に撫でられるの、楽しみですぜー」
「サラダバー」
神様たちも、転移スキルで帰ってしまう。
俺たちも、命君の部屋に戻ることにした。
◇ ◇ ◇ ◇
命君の部屋に戻ると、オワタ紙神スポナーから、10体のやっこさんが復活していた。
で、残りのメンバーのうち8人分、蘇生を行うことにする。
リオン君、スペンサー君、オリバー君、チャールズ君、コーディ、リオン君の友のブラディパンサーと、アウレネの飼っていたバジリスク、サバトラの長老猫だ。
ナンシーさん、パーシー君、シャムとその両親の5人は一般人枠なので、後日蘇生を行う。
まず、バジリスクの蘇生だ。
アウレネの体から錬金術でアセトアルデヒドを取り除き、酔いを醒ます。
「おや? 祭りは終わっちゃいましたか~」
『今からバジリスクの蘇生を行うから、蘇生したバジリスクをちゃんと説得するように』と刻む。
「おお~! チロチロにまた会えます~!」
【強化蘇生】で、やっこさんの上にバジリスクを蘇生した。
「シュルルルル(んん? 俺様、死んだ気がしたが?)」
「チロチロ~!」
「シュー(アウレネ、ここは一体どこだ? 天国か?)」
「うわ~ん!」
アウレネは、飼っていたバジリスクに抱き着いて泣きじゃくっていた。
というか、俺が殺したバジリスクだよな。
すまんかった。
さて、他のメンバーも同様に蘇生するか。
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