500.【後日談4】マナーモード
自宅のハーディス様像前にて。
「時間が空いた時に来てくださいね」と呼び出しを受けたので、ハーディス様の神スペースへと向かう。
神スペースへの招待は、
前者の方が呼び出す者の
ま、今の俺は自分で向かう事が出来るので、ハーディス様は一切消耗しないんだけどな。
◇ ◇ ◇ ◇
相変わらず、白く光る床がどこまでも広がる空間。
黒髪修道女姿のハーディス様はシャカシャカと歯を磨いていた。
俺に気づいていないっぽい。
「にゃー(こんにちは)」
「もごっ! げほっ、ごほっ!」
おっと、驚かせてしまったようだ。
ハーディス様はかがみ込み、酷くむせている。
俺は優しく彼女の背中をポンポンとさすってあげた。
ぶーん、ぶーん。首輪型PCが振動する。
「こふっ。ガラガラガラ、ぺっ。
……はぁ……来てくださいとは言いましたが、気配を消して背後から来るのは駄目ですよ?」
「にゃー(つい癖で)」
口をゆすいだハーディス様からお叱りを受ける。
吐いた水は四次元空間に収納された。
「それで、あなたを呼んだ理由ですが、見当はついていますか?」
「にゃー(いいえ?)」
知り合いを蘇生したり、身近な者を寿命無限化しまくったり、錬金術等の技術革新の手伝いをしたりしてたが、これでも自重している。
それはハーディス様も理解しているはずだが。
ぶーん、ぶーん。首輪型PCが振動する。
「あなたの世界の多くの住人が、近いうちに簡単に死ななくなります。
つまり魂の循環が
循環しない魂は損傷を積み重ね、やがて世界を負に染め上げてしまいます」
ふむ。
世界を単細胞生物に例えれば、俺達はその内部のミトコンドリアのようなもの。
魂がMPという名のエネルギーを産生し、それを世界に放出することで、世界がまわる。
ま、魂の機能はそれだけではないのだけれども。
その魂が損傷を積み重ねて正しく機能しなくなった時、世界の機能そのものが狂ってしまう。
そういう世界がいくつもあるのを知ってるし、負の意思を持ってしまった世界が襲いかかってきたこともあったな。
ぶーん、ぶーん。首輪型PCが振動する。
「にゃー(分かった。魂損傷を修復する機構を作って、俺の居る世界に埋め込んでおくとしよう)」
「一時しのぎにはなりますが……まぁいいでしょう。
ところで、さっきからぶーん、ぶーんと鳴っているソレは?」
「にゃー(お気になさらず)」
ぶーん、ぶーん。首輪型PCが振動する。
ソフが話に割り込まないように、マナーモードにしてあるのだ。
だがソフの奴が、俺にも話させろとさっきからうるさい。
用事も済んだことだし、俺は帰ることにした。
お土産にと、ハーディス様のファンクラブが作ったハーディス様等身大抱き枕を貰った。
いらん。他のネコ科魔獣にあげようかし『俺に寄こせぇぇええええーーーーーー!!!』うるせぇ。
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