501.【後日談4】ボトルキャット その1
□前書き□
Ekcessories社が出している同名のボトルキャップとは一切関係がありません。
□□□□□□□□□□□
昼の雑貨屋クローバーにて。
俺はカフェスペース窓際のテーブル席で昼寝していた。
ポカポカだぜ。
「んなー(肉球魔王様! 今から魔獣幹部による緊急会合が開かれますぞ!
何卒(なにとぞ)参加してくだされ!)」
「にゃー(うーん、今昼だぞ?)」
人間大の茶トラ白ネコ科魔獣幹部の火車が、俺を揺すって起こす。
分かった、起きるって。
あくびしつつ、猫像が撮った映像等を軽くチェックしてみたが、特に緊急事態は見られない。
何をそんなに慌てているのやら。
とりあえず火車についていくことにした。
◇ ◇ ◇ ◇
中央広場にて。
ほとんどのネコ科魔獣が昼寝中の中、魔獣幹部たちは皆深刻な顔をしていた。
「うんみゅう(まずはコレを見て)」
金トラ柄の普通猫サイズの魔獣幹部、金の亡者が四次元空間から1.5Lサイズのペットボトルを取り出す。
中にはミニチュアサイズの部屋が入って……ん? 何だこれ。
小さな部屋の中で、ピンポン玉サイズの猫型ゴーレムが、ちょこちょこ動いている。
何これ。
「うみゅ(ボトルキャット。お手軽なペットとして、ヨツバ様とアレクサンドラ様が共同開発した)」
「にゃー(あいつら頭おかしいだろ)」
ボトルシップのキャットバージョン、ってことか。
ペット用のゴーレムを作るのはかろうじて理解出来るが、ボトルに入れる意味はあるのか?
「うんみゅう(魔獣都市マタタビでは、人間とネコ科魔獣の関係が逆転する可能性を
それで代わりに中央都市チザンを中心に販売されることとなった。
たちまち爆発的な人気商品となり、受注生産が追いついていないみたい)」
「んなー(ここにあるボトルキャットは、純正品ですな。
思う所はあるものの、これ自体には問題ありませんぞ)」
「にゃー(なるほど、このボトルキャットを
どうやら、ボトルキャットに目をつけた悪質な商人がいるらしい。
そいつが小指の先ほどの大きさの小型ネコ科魔獣、ピンポン猫を空気穴付きのボトルに閉じ込めて販売しているらしい。
魔獣都市マタタビなら、そんな事してる奴は即座に逮捕されるのだが。
中央都市チザンは、戸籍を作っていない魔獣に人権(魔獣権?)は無い。
ピンポン猫達の戸籍は、おそらく存在しないのだろう。
なので悪質模造品は取り締まられていないようだ。
「んなう(ボトルキャットとは違って本物の魔獣が入ってるため、餌やりやトイレ掃除などの定期的な世話が必要になりますぞ。
ですがボトルキャットを買い逃した貴族魔獣が、代わりにこれを買っているようなのですな)」
「にゃー(最初から偽物として販売しているのか。なら取り締まるのは難しいな)」
中央都市チザンは、魔獣都市マタタビほど利権について守られていない。
ボトルキャットと称して売っているのならともかく、そうでなくそっくりな別物として販売されているため、中央都市は問題視していないようだ。
「にゃー(で、どうするつもりなんだ?)」
「うんみゅう(まず現在生産している工房を叩き潰して、ピンポン猫を救出する。
市場に出回ったピンポン猫入りの偽物をすべて回収する。
それから中央都市チザンに、偽物の取り締まり強化の法案を提出する)」
「ガゥ(だが救出とは言っても、向こうじゃ合法なんだろ?
襲撃したら俺達が悪者にならないか?)」
「にゃー(なぁに、バレなきゃいいんだよ。仮にバレたところで)」
「真正面から叩き潰してやるけどねぇ!」
魔獣国では、強い者が正義であり法律だ。
気に入らない事は、最終的に暴力で解決するのだ。
実に分かりやすい。
「うみゅー(それじゃ錬金術工房から、まず5人ほど調査員を出す。
報告や結果は後日報告する)」
「んなう(では解散ですな!)」
こうして昼の緊急会合は終わった。
さーて、俺は昼寝の続きをするか。
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