330.【後日談】バステト様村へ行こう
ここは大魔導士の森。
俺とアウレネ、シルフ婆さんで、森の中にある墓地に来ていた。
「ほー、これが私の墓ですか~」
アウレネは興味深そうに、自分の墓を見る。
「ワシの墓はどこかの?」
『エルフ達の騒動の巻き添えで壊れたぞ』とエメラルド版に刻む。
正確には、外から移住した人間嫌いのエルフが、悪意で地面ごと吹っ飛ばしたのだが。
「人間に支配されていたなど、考えただけでも虫唾(むしず)が走る!」とか抜かしながら。
その時は俺だけでなく、シルフ婆さんを慕っていたオリバー君達もキレて大喧嘩になったのだが。
胸糞悪いだけなので伝える必要もないだろう。
「はぁ……あ奴ら、ワシが死んだ後も相変わらず喧嘩しておったのか」
「で、私が死んだ後、にゃんこさんに森を追い出されたんでしたね~。
彼らは元気にしてます~?」
『魔獣都市マタタビから少し離れた場所に村を作って生活しているぞ。
定期的に送られてくる上質な織物や上質紙の多くは彼らの作だ』と刻む。
魔獣国は、都市ごとに制度が違う。
都市の周辺の町や村は、近くの都市の制度に従った運営をする。
で、オリバー君が作った、人間に友好的なエルフの村があるが、そこは魔獣都市マタタビの管轄となっている。
魔獣が子どもを産み過ぎた等の場合、周辺の町村のお世話になるのだが、そのエルフ村にもネコ科魔獣が住んでいる。
「村? 何て名前の村です~?」
『バステト様村、だ』と刻む。
「かっかっかっか! 村の名前だけで、バステト様を慕うエルフが作ったと分かるのぅ!
アウレネや、明日にでもその村に行ってみないかの!」
「おおっ、いいですね~」
どうやらアウレネとシルフ婆さんは明日、バステト様村へ出かけることにしたらしい。
俺はその日は命君のダンジョンで、風地火水ゴーレムのパワーレベリング予定だ。
夜、森にオリバー君とチャールズ君もやって来て、彼らもバステト様村ツアーに同行することになった。
翌日。
アウレネ、リリー、チロチロ、シルフ婆さん、オリバー君、チャールズ君は出かけた。
◇ ◇ ◇ ◇
・アウレネ視点
私達は蛇の魔獣、バジリスクのチロチロに乗って移動中です~。
「みゅ~(この蛇、おいしそうにゃ! 味見味見)」
「リリーちゃん、チロチロは毛が無いので毛づくろいしても意味ないです~」
「シュルルル(ひ―っ?! 俺様、食われるー?!)」
「バステト様村まで、あとどのくらいかの?」
「この速度だと、夕刻には着きそうだなッ」
「乗り心地微妙やなぁ……」
げしっ。チャールズを蹴り落としました~。
「痛っ! 何すんねん!」
「チロチロが頑張って皆を運んでいるのに、その言い草は無いです~」
「ちょ、ま、待ってや!
悪かった、ワイが悪かったさかい!
置いてかんといてやー!」
チャールズには1時間ほど走ってもらいました~。
そろそろお昼にしましょ~。
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