381.【後日談2】【クロスオーバー(メニダン)】ハッキング失敗
・ヨツバ視点
私は今、猫さんから借りた首輪型PCでネットサーフィンしている。
猫さんは朝食を食べた後、木箱を取り出して中に入り、眠ってしまった。
……よし、今だ!
私は、サポートAIの協力によってこっそり作ったハッキングソフトを起動する。
メニィ・ダンジョンズ・オンラインの世界の天国を終わらせない方法はただ1つ。
天国をこちらの世界へ持ってくればいいのだ。
イケメン魔獣のデータをメニィ・ダンジョンズ・オンラインのサーバーから抜き取り、それをホムンクルスへコピーするのだ。
そうすればイケメンが実体化する。
我ながら完璧な作戦だ。
この首輪型PCは、この世界よりもはるか未来の世界で作られた超高性能のPCなのだ。
だから、この世界のコンピュータへ忍び込むことなど
猫さんも、町人を実体化させようと画策しているっぽいので、似たようなことをするつもりなのだと思う。
私も猫さんに頼んで、イケメン魔獣を実体化してもらうように頼んでも良かったかもしれない。
……いや、魔獣の内部データを読まれて私の性癖がバレるのはマズい。
頼むとしてもそれは最終手段だろう。
とにかく、まずはハッキングでデータを抜き取るとしよう。
そーれ、接続っと。
「ん?」
ガ、ガガガ、ガガガガガガ……!
首輪型PCから、何やら不穏な音がする。
『愚かなクラッカーよ。
俺は
俺の神聖なるデータサーバーへ侵入した罪は、貴様の命で償ってもらおうか』
聞き慣れない男の声がしたかと思ったら、首輪型PCがバキッ、と音を立ててヒビが割れ、煙を立てて、動かなくなってしまった。
……え、壊しちゃった?
ゴォォオオオオオ!
黒い渦が部屋の真ん中に出現し、その中から棍棒を持った鬼顔の魔獣が現れた。
『我、執行人ナリ。SOPH様の
「うるさい。今取り込み中だから邪魔しないでください。ザ○」
『ヌゥァアアアアア……』
私に襲いかかろうとした魔獣を即死魔法で殺し、四次元空間に収納する。
えーと、状況を整理しよう。
ハッキングは
で、そのSOPHが首輪型PCに何らかの負荷をかけて壊した。
今やって来た魔獣は、SOPHの手下かな?
ハッキングした人を殺すために差し向けてきた?
……何のために?
うーん、よくわからないけど、私が今すべき事は、
……猫さんに、首輪型PCを壊してしまったことを謝ることかな。
「猫さん、起きてください」
「にゃー(う~ん、キンキンに冷えたビール……)」
猫さんを揺すってみたけど、起きてくれない。
緊急時だと勝手に本能で起きるらしいけど、普段はこのように寝言を返すくらいだ。
何て言ってるのか分からないけど。
「首輪型PC、壊れてしまいました、すみません」
「にゃー(う~ん、焼き鳥に枝豆、ポテトフライ……)」
「へっ?」
いつの間にか、首輪型PCのヒビ割れは綺麗サッパリ無くなり、煙もおさまっていた。
どうやら首輪型PCには、自動修復機能が備わっていたっぽい。
魔道具もビックリの高性能だ。
とにかく、首輪型PCが直ったのなら、もう私が猫さんを起こす必要もない。
夕方にビアガーデンに連れて行ってくれるらしいので、それまでゲームして過ごすことにしよう。
私はVRヘッドセットを被り、ゲームの世界へ飛び込んだ。
天国を満喫しつつ、イケメン魔獣実体化への次の手を考えることにした。
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