594.【後日談7】雑貨屋クローバー新聞 特集『やってはいけません集』人間編


・雑貨屋クローバーの壁に貼られた手作り新聞の、とある1ページ



こんにちは。俺は肉球魔王だ。

今月の特集は、俺が書かせてもらうぞ。


今月は、魔獣都市マタタビの住人の人間への注意勧告だ。

さっそくいってみよう。



◇ ◇ ◇ ◇



・怯えた顔をしている男の話



「あれは、夜寝る前の事だった……。

耳掃除をするために、耳かきを耳に突っこんだんだ。

その耳かきには、フワフワの丸いポンポンのようなものが付いていたんだ」


「にゃー(ふむふむ)」


「耳掃除を続けていると、急に俺の腕に飛びついてきたまだら模様のネコ科魔獣!

俺はびっくりして、耳かきをブスリと鼓膜に突き刺してしまう!


耳からは血が出て、痛みと片耳が聞こえないから、俺は大慌て!

飛びついてきたネコ科魔獣も、つられて大慌て!


1分後、俺は病院へ運ばれましたとさ」


「にゃー(なるほどな。ネコ科魔獣は、耳かきをオモチャだと思って、飛びついたんだな)」


「ったく、酷い目に遭ったぜ……」



というわけで、ネコ科魔獣の前では、耳かきをしちゃ駄目だぞ。

耳かきで耳をぶっ刺したくないのならな。


もちろんネコ科魔獣の前での歯磨きや髭剃りも駄目だ。

耳かきと同じ感じで、喉に刺してしまったり、顔を切ってしまったりするかもしれないからな。



◇ ◇ ◇ ◇



・目が笑っていない女の話



「あれはベッドで猫さんと昼寝していた時の事でした。

目が覚めると、いつの間にか白猫が居て、昼寝をしていたんです」


「にゃー(リリーだな)」


「私が顔を近づけると、白猫が目を覚ましました。

それから、白猫がふぁぁあああ、とあくびをしました」


「にゃー(ふむふむ)」


「その口を大きく開けたところに、私は人差し指をそっと入れました。

カプッってかわいく甘噛みされると思ったのですが。


ボリボリ、ゴクン。

みゅ~(化粧水臭い肉だにゃ)って言われて。


何と私の人差し指が食べられてしまったのです。

すぐに【ヒール】して復元させたからよかったのですが」


「にゃー(なるほどな。寝ぼけて食べちゃったのか)」



このように毎月数件、人差し指を怪我、損失する事件が発生している。


あくび中のネコ科魔獣の口に指を突っ込むなんて、馬鹿な真似はしないように。

指がネコ科魔獣の喉に刺さってしまうかもしれないし危ないからな。



◇ ◇ ◇ ◇



・ケラケラ笑っている少女の話



「近所に小さいネコ科魔獣さんが居たから、遊んであげたんだよー。

こう手でわしゃわしゃ~、パッ、って。手にじゃれついてきたよー。

すっごく可愛いんだー」


「にゃー(ふむふむ)」


「そのネコ科魔獣さん、3ヶ月であっという間に私より大きくなってー。

でも昔みたいに、私の手にじゃれついてきたんだー。

さすがに手を【硬化】させて相手したけどねー」


「にゃー(危ないな)」



年に数件、ネコ科魔獣に腕ごと持っていかれる事件が発生している。

治るとはいえ、非常に危険だ。


なので子どもネコ科魔獣と遊ぶ時は、手で遊んでは駄目だぞ。

大きくなっても手で遊ぼうとするからな。

きちんと道具を使うように。場合によっては手や腕にプロテクターを装備しよう。




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