214.露店中


翌日。

雑貨屋クローバー前にて露店中だ。


商品は荷車に載せている。

俺は荷車に乗り、角に頬をグリグリこすり付けて、横になる。


ガラガラ。お客さんの馬車が近くで停まる。

いつも贔屓にしている貴族だな。

名前は知らないが。



「いらっしゃいませー」


「ふむ、店主。雑貨屋は改装中かね?」


「ええ」


「ガラス細工の注文は受け付けているかね?」


「はい」


「では頼む。欲しいのはこれくらいの大きさの像で、外見はこの絵のような……」



リオン君と貴族の商談をBGMに、俺は昼寝することにした。

といっても今は朝だが。



◇ ◇ ◇ ◇



パチ、パチ、パチ……。


目が覚めると、そろばんをはじくリオン君とシャムが居た。



「そうそう。次は5+27」


「ええと……32ね」



シャムはそろばんの練習中らしい。

客足が落ち付いたので、空いた時間にリオン君が計算の指導をしている。


そろそろ昼飯時か。

何を食べようかな。



「そろそろお昼ねぇ。私、お弁当作ってきたの」



シャムは荷車に置いてあったカゴを取り出し、開ける。

ほぅ、サンドイッチか。

美味そうだ。


ま、パンには塩がたくさん入ってるから、俺はほとんど食べないのだが。


オリバー君が真っ先に取って食べる。



「うむッ! これは良いッ!」


「猫さんもどうかしらぁ?」



俺は首を振って、昼飯を求めてさまようことにした。

店も問題なさそうなので任せておこう。



「要らないってことかしらぁ?」


「旦那は気まぐれだからな」



◇ ◇ ◇ ◇



昼飯になりそうな物を求めて、結局森へ来た。

そういえば、コーディは元気だろうか。


自宅へ戻ると、コーディがベッドに包まって眠っていた。

近くのテントで寝泊まりしていたはずなのだが。


起きるのを待つ間に、ヨツバに頼まれた伊達メガネと宝石ビーズの試作品を錬金術で作る。


結局彼女が起き上がったのは4時間後の夕方だった。

テントにある竹ベッドは固くて寝心地悪いので、ここで寝ていたそうだ。


夕食を食った後、俺達は夜遅くまで【ヒール】談義をしたのだった。

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