215.ガリガリガリ


おはよう。

今日も快晴だ。


雑貨屋クローバーの改築に使う木材を、エルフ達の指示に従って爪で切る。

そして、木の皮を剥ぐ。


出来た建材パーツを、四次元空間に仕舞い、雑貨屋の場所へ運ぶ。


ここまで行うと、大工エルフ達の負担がぐっと減るのだ。



「すんまへんなぁ、バステト様。ワイらの仕事手伝ってもろうて」


『これで雑貨屋の改築が早くなるんだから、俺としてもありがたい』とタイプで打つ。



さて、次は錬金術で釘を作るとしよう。



◇ ◇ ◇ ◇



必要数の釘を錬金術で作ってチャールズ君達へ渡す。

今日の俺の手伝い仕事が終わってしまった。


森の自宅前のかまどで火を焚き、横になる。

ぬっくぬくだぜ。


……。


……暇だ。


爪でも研ぐとするか。


俺はアダマンタイト製自作爪とぎを取り出す。



「にゃー(うおー)」



ガリガリガリ。


ガリガリガリ。


キラリーン。

爪の古い層が剥がれ落ちる。

新しい層が美しい輝きを放つ。


ついでに後ろ足の爪も研ぐ。

猫的にはグルーミングの時に自分で咬んで爪の手入れをするのが一般的らしいが、俺の知ったことではない。



ガリガリガリ。


ガリガリガリ。


キラリーン。

新しい層の爪がこんにちは。

剥がれ落ちた爪は四次元空間に収納だ。



「……おはよう」



コーディが俺の家から出てきた。


ヒール談義をしてもいいが、そろそろこいつに研究理論を叩きこむとするか。

店はあと3ヶ月以内に完成するみたいだし。



『付いてこい』と板に書く。


「……散歩?」



コーディを引き連れ、森のエメラルド板遺跡に行く。

彼女には、ここにある約6000枚のエメラルド板を学んでもらおう。

なぁに、俺がマンツーマンで指導するから、すぐに身に付くさ。


遺跡内部の中央空間には何故か猫像が建っていて、何故かそれの前で崇拝してる連中も居た。

あいつら何やってんだろう。

変なの。


俺達は連中を無視して、通路を【ライト】で照らし、進むことにした。

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