468.【後日談4】アイスを食べる


雑貨屋クローバーにて。

今日は暑い日なので、アイスコーナーを設置している。


アイスコーナーはガラスの蓋があり、その上にネコ科魔獣が昼寝している。

ヨツバが首輪型PCで写真を撮り、「これアップしたら炎上しますよ、ふふ」と笑っている。

何が可笑しいのかよく分からんな。


あるいはネコ科魔獣はアイスコーナーの結露した水滴を、ペロペロと舐めている。

掃除して綺麗にしてあるから別に腹壊したりしないだろうが、あまり行儀は良くないな。


ま、いちいち気にしていたら魔獣都市のお店なんてやってられないけど。


俺は森の奴らのお土産に、アイスをいくらか購入して持っていくことにした。

っておい、社員割引してくれよ、俺は社長だぞ。



◇ ◇ ◇ ◇



大魔導師の森、自宅前テーブルにて。

俺は皆の前で、さっき買ったアイスを取り出す。



「にゃー(おやつの時間だぞー)」


「わ~、にゃんこさんありがとうございます~」


「バステト様、これは氷菓子かの?」


「シルフ様、これはアイスという物だッ。

こうやって外装を剥がし、かぶり付くッ!」


「何やこのチョコミント味って。けったいな匂いやなー」



金髪、茶髪、銀髪エルフに、白髪のシルフ婆さんがアイスを食べる。


俺は丁度、最高級鶏肉を茹でてチップ状にし、凍らせた物を作っておいたので、それを取り出しじる。

暑い時には冷たい物だよな。



「ところでにゃんこさん、北西の人間国が段々と勢力を拡大させているのを知ってますか~?」


「にゃー(知ってるが。魔獣国チザンに宣戦布告してきたから、近いうちに返り討ちにあうんじゃないか)」


「ハイブリッド・ゴーレムを軍用に投入、試用するのだったなッ。

あれは良いものだ。今までで一番壊し応えがあったッ」


「にゃー(いや壊すためのものじゃないからな?)」



壊しがいのあるハイブリッドオモゴーレムチャを手に入れてはしゃぐオリバー君は、さながら新しいオモチャに興奮している猫のようだった。

戦闘狂の考える事は分からない。


ん? 戦闘狂といえば、リリーはどこだ?



「みゅ~(とーう、だにゃ!)」



気配を消した白猫リリーが、物陰から俺に襲いかかってきた。

甘い。


俺がひらりとかわすと、リリーは勢い余ってオリバー君にぶつかった。



「おい、人が食事中に突進するとはいい度胸だなッ!

表に出ろッ!」


「みゅ~(オリバーは人じゃなくてエルフだにゃ。あと表に出ろって、ここはもう外だにゃ。

オリバーは馬鹿だにゃ~)」



オリバー君がリリーに掴みかかろうとするが、リリーは軽く避けてアウレネの後ろに避難する。



「みゅ~(助けて~、オリバーがイジメるにゃ~)」


「オリバー、大人気ないです~」


「オリバー、静かにせんかッ!」


「俺が悪いのかッ!? デブ猫はどう思うッ」


「にゃー(まぁ、これでも食べて落ち着けよ)」



俺はオリバー君に、鶏肉チップを渡す。

オリバー君はチップをかじったが、味が薄いって顔をしていた。

そりゃ猫用だから、何も付けてないからな、仕方ない。


リリーがおいらも、おいらも、って俺に迫ってきたので、チップを分けてやった。

ん? アウレネとシルフ婆さんの分は無いぞ。

そんな期待した目をするんじゃない。


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