539.【後日談5】異世界転移! 魔獣都市マタタビ その10


・転移者 橘若菜視点



首輪型魔道具のビデオで学習した内容によると、各種錬金術スキルは、レベル30から詠唱不要となる。

最初は30レベルだったけど、錬金術工房での実技試験でレベルが1つ、上昇している。


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鑑定結果

【加速錬成Lv31】

説明:錬金術スキル。物体の時間を加速させる。

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加速錬成は時間経過を操るスキルであり、時間を加速するだけでなく、減速、停止することも出来る。

もちろんそれを行うには多量のMPを消費する。


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鑑定結果

【変性錬成Lv31】

説明:錬金術スキル。ある物体から別の物体を作る。

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変性錬成は、何かを化合、合体、温度変化させるスキルだ。

別の物体を作る、と書いてあるけど、銅から金を作る場合は、高校生程度の化学知識がなければ作れない。

陽子、中性子、電子の数を変化させればいいのだ。

なおスキル使用によって核融合が起きたりはしない。


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鑑定結果

【分離錬成Lv31】

説明:錬金術スキル。物体を分離させる。

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逆に分離錬成は、何かを分解、遠心分離みたいに分離、解体するスキル。

どこまで分解するかは、術者のイメージによる。


これら3つのスキルが、錬金術スキルの基礎。


あと、錬金術スキルが作れるのは、物だけではない。


例えば、新たなスキルを確率で作ることが出来る。

【習得】スキルを持っている場合は、作成確率が上昇する。

私は【習得Lv100】を神様から貰っていたので、一発で自分オリジナルスキルを作ることが出来た。

オリジナルスキルには作成数の限度があるらしい。数や理由は分からないけど。


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鑑定結果

【大鍋錬金Lv1】

説明:錬金術スキル。鍋に錬金術の素材を投入し、イメージした物体を作る。

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丁度ミスリルの大鍋おおなべ(底に穴が開いている)も貰ったことだし、これを使って錬金術を始めよう。


穴の開いた銀色のミスリルの大鍋を地面に置く。


そして、中に錆びてボロボロになったミスリルソードを突っ込む。


パン! と手を合わせると、スキルが発動し、ミスリルソードが溶けて、ミスリルの大鍋の底を修復した。

鍋の底には、余ったミスリルの破片があった。



「よし、成功! ……う、フラッとする……」



MPが残り少なくなると、めまいが起きるらしい。


使用するMPは、本来溶かしたり加工したりするのに必要なエネルギーが多いほど大きくなる。

だから金属系の錬金は、非常に多量のMPを消費するのだ。


私は家に戻り、自室で仮眠を取ることにした。



◇ ◇ ◇ ◇



1時間を経て、庭に戻る。

MPは全快している。


さて、次は大鍋を使った錬金術を行うとしよう。


大鍋の中に素材を入れようとして、手が止まる。



「すぴー、すぴー」



先ほど庭から追い出した黒猫が、大鍋の中で気持ちよさそうに昼寝していた。



「猫を素材にしたら、三味線しゃみせんとかできるのかな」


「みーぅ(うひぃ!? 殺されるー!?)」



黒猫がビクッとして、起き上がり、大鍋から脱出した。

黒猫だけにブラックジョークだよ。


だいたいネコ科魔獣至上主義のこの都市でそんな事したら、絶対ヤバイ罪に問われるって。

ちなみに三味線には猫の皮よりも犬の皮の方が使われているし、それ以外の動物の皮も使われたりする。


ま、三味線はどうでもいいや。

錬金術の王道、ポーションを作ることにしよう。


ポーションは、【ヒール】を覚えている草、癒し草から作られる液体。

その液体を飲むと、【ヒール】がかけられた時と同じ効果を得る、つまりHPが回復する。


ポーションは液体中に、癒し草の魂を閉じ込めることで作成される。

癒し草の魂が、【ヒール】を使うことに異常なほどの執着を持っているらしく、その魂を液体に抽出するのだそうだ。


大鍋の底にあるミスリルの破片を回収。

そして大鍋に庭の蛇口から水を汲む。

続いて、枯れた癒し草を投下。


パン!

手を叩き、【大鍋錬金】を発動。

近くで様子を見ていた黒猫がビクッとする。


大鍋はミスリル製なのでスキルの通りが良い。

とても少量のMPで、鍋いっぱいの薄緑色のポーションが出来上がった。


大鍋ごと四次元空間に収納し、今日の錬金術の実技はひとまず終了。

さてと、これを売りたいのだけど、売れるかな?


ピコーン。


『中央都市チザンでA5ランク鬼牛ステーキ食べ放題なう』


屋外のバーベキュー場っぽい場所で、頭の草に白い花を咲かせた若ニャンが、幸せそうにステーキをムシャムシャしている写真とメッセージが宙に表示された。

この首輪型魔道具、LI〇Eっぽい事も出来るらしい。



「みーぅ(わー! いいなー!)」



近くの黒猫が宙に表示された画像を見て、うらやましそうな顔をしてたので、彼の写真を撮ってそれを若ニャンに送っておいた。



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