2章
67.3年後のある日
猫に生まれ変わって3年になる。
俺も、このウッドハウス周りも、この森もずいぶんと変化した。
今日はネルの所に遊びに行く日だ。
俺はかまど近くで暖をとっている白髪のシルフ婆さんに『行ってくる』と書く。
「ああ、バステト様。
ワシなんぞに気遣わず、行ってくるとええ」
シルフ婆さんは1年前から俺の拠点に住みついた。
何でも、年のせいで雷魔法の調子が悪くて移動が出来なくなったので引退するらしい。
丁度その頃、新しい魔王が現れたらしく、各国が新生魔王軍と戦っているらしい。
旧魔王軍はどこかに行ってしまったと世間では言われている。
ま、俺には世界情勢なんて関係ないけどな。
暖をとりながら糸で洋服を編んでいるシルフ婆さんに手を振って、俺は町へ出かけた。
◇ ◇ ◇ ◇
町は相変わらずウ○コ臭い。
よくこんな所で生活出来るなぁ、といつも思う。
宿に来たら、入口でネルとマック君が迎えてくれた。
最初に会った日以降、この二人は仲良くなったらしい。
俺が居ない日は、マック君がネルに読み書きなどを家庭教師してるそうだ。
その代わり俺が来た日は、俺を数時間独占する権利を得ているのだとか。
俺は人気講師か何かかよ。
ネルは背がとても伸び、今では俺を(一瞬だが)抱っこできるほど大きくなった。
マック君は胸が出て女らしさが少し増したので、男呼ばわりされることが少なくなったらしい。
「猫さん、いらっしゃい!」
「やあ、今日もご教授お願いするよ!」
マック君はともかく、ネルはすぐに俺に飽きるんじゃないかと思っていたが、どうもよほど好かれているらしい。
いつも二人はとびきりスマイルで迎えてくれる。
宿屋に通いつめてもう3年か。
月日が経つのは早いものだ。
俺達は宿屋へ入る。
受付にはお腹を大きくしたナンシーさんが居た。
どこかの男とヤったらしい。
「あら、猫さん、今日も二人に遊んでもらいに来たのね」
ナンシーさんは、俺がネルとマック君に遊んでもらっていると思っているらしい。
「ではお姉さん、お嬢さんをお借りします」
言いつつマック君は宿の一室に入る。
何と彼女、宿に大金を払って専用自室を購入しているのだ。
ネルが寝た後、夜遅くまで俺から教えてもらうために専用の部屋を購入したというのだから、彼女の好奇心には脱帽する。
部屋には彼女専用の錬金術道具や羊皮紙などがどっさりと置かれている。
マック君はその中から、先日教えた内容が書かれた羊皮紙を取り出す。
「これ、これ。ボクがどうしても分からなかった箇所があるんだけど」
「猫さんと先に遊ぶのは私だよ!」
「ボクは遊んでるわけじゃないんだけど……ま、いっか」
ネルとマック君と俺は、すごろくをして遊ぶことにした。
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