530.【後日談5】異世界転移! 魔獣都市マタタビ その1
・第10神学園にて
世界によっては、神という職業に就くために神学園という所の卒業を義務付けされている。
ここはそんな神学園の1つ。
神木で出来た講義室にて。
見習いの神々は、いよいよ最終試験を言い渡されることとなった。
「最終試験は例年通り。
つまり、実際に1人の人間を異世界転生もしくは異世界転移させ、1年間見守ることである。
諸君、これまで培った知識と経験を総動員し、試験に励むように。
あぁそうだ、くれぐれも試験である事、見習いの神である事は人間には悟られぬように。
要らぬ不安を与えるからな」
最終試験に使用される転移転生先の世界は、試験官が選んだ世界が使用される。
1神につき3つの選択肢が与えられる。
見習いの神々は順番に、課題の世界3つが記された紙を試験官から受け取る。
見習いの神、男神ロキサスは、自分に与えられた選択肢の世界を、【鑑定】にてじっくりと調べる。
試験は1時間後だ。
「あぁ、もう一つ大事な事を言い忘れていた。
試験の採点は、現地の神が行う。くれぐれも失礼のないように」
そりゃそうだ。試験官が全ての見習い神、そして転移・転生者を見張るのは大変だ。
ロキサスはそんな事を考えつつ、【鑑定】でそれぞれの世界を吟味していた。
◇ ◇ ◇ ◇
・とあるOL視点
「……ここは?」
「目が覚めましたか、ここは神の空間。
私は男神ロキサスと申します」
目の前には、金髪の容姿端麗なイケメンさんが居た。
えーと、現状確認。
私の名前は
35歳OL。趣味はラノベ。両親は他界し現在独身の一人暮らし。
よし、記憶は問題無さそう。
確か私は、通勤中に貧血でフラッとして道路側に倒れて、それから……
「死んだ?」
「いえ、死ぬ前にここに転移させてもらいました」
「あっ、それはどうも。えっと、元の世界に戻してもらうことは?」
「残念ながら、出来ません。
代わりにといっては何ですが、別の世界、あなた方の言うところの異世界に転移して頂きます」
異世界転移。
最近ラノベで読んだ奴だ。
「転移先ってどんな所? やっぱり剣と魔法の世界?」
「転移先については3つほど、候補があります。
1つ目は錬金術の最先端をいく一番安全な都市マタタビ。
2つ目は若干治安は悪いが魔法が一番発展している都市アネモウ。
3つ目は治安最悪の、勇者召喚を行っている都市カンピス」
「ロキサス様のおすすめは?」
「うーん……マタタビ、いや、アネモウ……、のどちらかでしょうか」
「じゃあマタタビって所で」
一番安全と太鼓判が押されているのなら一択でしょ。
私は異世界転移したからといって戦闘とかしたくないし。
「向こうでは生産職として生きたいのだけど、何かチートスキル貰えるの?」
「チートスキル? ……いえ、すみません、無いですね。
ちょっと待ってください。
……あぁ、現地の錬金術の神からスキルを頂けるそうです」
「ならそれでいいや」
錬金術ってアレでしょ。
お鍋に材料突っ込んで、魔力込めて、蓋して、ポーション作成! ってやつ。
おっけ、おっけ。
それ系統のラノベは読んでいる、ばっちこい。
ロキサス様が何か呪文を唱えると、私の体は光の粒に包まれる。
そして視界が真っ白になり、視界が明けると……
「猫ぉ!?」
大小さまざまな猫が、あちこちで昼寝していた。
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