64.変性錬成習得
ウッドハウス前で、俺は錬金術の練習を続けることにした。
マック君の本のメモによれば、錬金術の呪文はあと2種類あるらしい。
とても有用そうなので、習得してしまおう。
まずは変性錬成。ある物体から別の物体を作る。
物体の体積や形状は変わるが、重さは変化しない。
例えば木から糸を作ったり出来る、と。
ふむふむ、おそらく材料から作れる物体を生成するのだろう。
それによって生じたり消費したりするエネルギーがどこに行ったかは謎だが。
まあいい。やってみよう。
俺は木を取り出す。
「にゃー(『森羅万象、全て神へ通ず。変性錬成』)」
植物の細胞壁成分であるセルロースをつなぎ合わせ、糸にするイメージで俺は呪文を唱える。
木が姿を変え、目の前に白く美しい糸が現れる、が。
「にゃー……」
俺は突然の眠気に襲われて眠ってしまった。
◇ ◇ ◇ ◇
「アウレネ、ただいま帰りましたよ~。
お、おおおおっ! すごく綺麗な糸です~!」
うーん、ここはどこだ?
俺、外で寝てたのか?
確か変性錬成の練習をしていたハズなのだが。
金髪エルフのアウレネが、俺の作った糸を手にとって小躍りしている。
何やってんだ?
「にゃんこさんの仕業ですか~?
この糸、どうしたんです~?」
どうやら俺は夕方まで眠っていたらしい。
アウレネに、変性錬成の練習中眠ってしまったと伝える。
「それは多分魔力切れです~。
変性錬成なんて、初心者錬金術師だったら軽く死ねるくらいMPを消費しますよ~」
アウレネいわく、MPが0に近付くと体がだるくなるらしい。
だから魔法使いは自分のMP管理が重要なのだとか。
MPは寝たり休憩したりすると回復するそうだ。
「まあ、魔力切れになるくらいの練習を繰り返さなければ、スキルが上達しないですよ~」
スキルレベルが高いほど、消費MPを押さえつつ高威力になるらしい。
変性錬成の高威力って何だ。
とりあえず俺は自分の鑑定をしてみる。
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鑑定結果
名前:トミタ・ミナモト
Lv:28(20歳)
種族:猫
スキル:【鑑定Lv100】【鑑定阻害Lv3】【四次元空間Lv100】
【ライトLv11】【ライトニングLv3】【ヒールLv5】
【鍛冶Lv4】【加速錬成Lv4】【変性錬成Lv7】(NEW!)
【経験値100倍】【習得Lv100】
ステータス:
HP 1,920/1,920 MP306/1,340
ATK337 DEF287 MAT397 MDF265 SPD473 INT310 LUK104
称号:【王者を討伐せし者】【救済者】【超炭鉱夫】
【エセ神】【エセ大魔導士】【錬金術師初心者】(NEW!)
異世界に転移した茶トラの猫。元は人間だったらしい。
ドラゴン並みの強さと耐性を持つ。
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鑑定結果
【変性錬成Lv7】
説明:錬金術スキル。ある物体から別の物体を作る。
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鑑定結果
【錬金術師初心者】
説明:血の滲むような修行をして錬金術師の見習いから卒業した者に送られる称号。
錬金術スキルに消費するMPがさらに軽減される。
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血の滲むような修行なんてしていないのだが、称号もらっちゃったぞ。
なんかズルしてるみたいで嫌だな。
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