336.【後日談】にゃんこ帰還・バステト様村での歓迎2


大蛇の機械魔獣のバッハ君と話しながら、俺はアウレネ達の様子をバッジ越しに眺めていた。


途中、シルフ婆さんのガラス像が壊れたから直してやったが、直すのはこれで7回目だ。

今代のエルフは、過去に何度もガラス像が壊れたことなんて知らないんだろうけどな。

原因は全部ネコ科魔獣のイタズラなのだが。


で、オリバー君達は、蘇生についてバステト様村のエルフに話すことにしたらしい。


しかし、村長を含む、ごく一部のエルフに限定してのみ話している。

決して漏らさないようにするのじゃ、とシルフ婆さんが念を押す。


噂が広まり「誰それを蘇生してください」と俺の所に詰め寄られては迷惑だろうから、とのことだ。

俺としてはバレたところで問題ないんだがな。

面倒になったら、そいつから該当する記憶を奪ってやればいいだけだし。



「グォォオオオオオ!(創造主の扱うスキルは、主に1億7800万種類ほどだったぞい)」


「にゃー(あと、破壊よりも、作る方が彼は得意みたいだな)」


「グォウッ!(今度はその方向から攻略してみるぞい)」


「にゃー(創造主が行動する度に世界が1つ作られていたようだが、何か心当たりはあるか?)」


「グォァァアアアア!(世界を作る……創造が得意……ハッ?!

なるほど、そういうことだったのぞい!

今すぐ実験ぞい!)」



バッハ君は何か閃いたらしい。



「にゃー(シミュレーターを使うのか。

だったら、ゴーレム達が邪魔になるな。

そろそろ彼らの訓練を終えるとするか)」



意識フルダイブ型戦闘シミュレーター大部屋に居る、4属性のゴーレム達に呼びかける。

今日は訓練はここまでだ。


ヘッドギアを脱いだ彼らは、何だかホッとしたような雰囲気だった。


さ、魔獣都市マタタビに戻るか。



「にゃー(命君、俺は帰るぞ)」


「おぅ」



命君は宙に浮かんでいるディスプレイから目を離さずに、片手だけ挙げた。

相変わらずゲームばかりしているらしい。


俺はゴーレム達を四次元空間に仕舞い、加速度を操って魔獣都市マタタビへ向かう。

ネル達を運ぶ時は加減した速さで移動したが、自分一人で移動する場合は遠慮なく速度を出せる。


1分足らずで、魔獣都市マタタビ宿屋前に到着した。

さっそくナンシーさんに夕食をたかろう。



◇ ◇ ◇ ◇



・アウレネ視点



私達は1時間話をして、それでも相手方が納得しないから結局、村の広場で2時間ほど決闘が行われて~。


決闘はオリバーが圧勝。

今、オリバーと村長が握手しました~、ようやく仲直りです~。



「どうやら我々は誤解していたようだ。

あなた方は我々を害する気は全くなく、本当にただ村へ遊びに来ただけのようだ」


「だから最初にそう言ったではないかッ」


「ええ。ですが、ここ最近の10年間、反人間派のエルフの奴らがうるさいもので……。

また彼らの嫌がらせか、と思ったのです」



どうやら反人間派のエルフは、あまり評判が良くないみたいです~。



「例の話は、村の他の者には内緒じゃぞ?」


「知られたらバステト様が困りますからね。

ですがシルフ様の顔は、仮面で隠された方がよろしいかと。

いらぬ誤解を生みますので」


「村を立ち上げたオリバーの顔は忘れられておるというのに、ワシの顔が知られているとはの。

かっかっか!」



蘇生の話は、最初は信じてくれませんでした~。

けど、オリバーや私の知識が古いこと、シルフ様の話の内容が村に伝えられた物と一致すること。

あとは、にゃんこさんのことを彼らよりたくさん知っていることを証明しました~。


少なくとも、にゃんこさん関係の者であることは伝わったみたいです~。

今回の訪問はマタタビからの視察扱いになり、村への滞在許可が下りました~。


……最初からにゃんこさんに、滞在許可が下りるように頼んでおけばよかったです~。



「さて。では遅くなりましたが……ようこそバステト様村へ!」



広場で、私達を歓迎する宴会が始まりました~。

よ~し、今日は飲みますよ~。

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