304.【後日談】昼寝広場作成


翌日。

俺は都市の東の門に居る。



「「ナルル(肉球魔王様、整地予定地を確認しに行った兵が戻ってきました。

予定地に友好魔獣も人も居ないようです)」」



門番をしている2つ首のネコ科魔獣(黒猫)が、口をそろえて言う。



「にゃー(よし、さっそく始めるか)」



まずは四次元空間で、範囲内の植物や岩を全て収納。


次に、範囲内の敵対魔獣(魔獣国だからといって、魔獣全員が味方というわけでない。

むしろ敵対している魔獣の方が多いのだ)や動物を四次元空間にいったん仕舞い、遠くで取り出す。


そして、四次元空間の中に収納している岩石を取り出し、新しい壁となる場所に積み上げる。


仕上げに、錬金術によって脆い箇所を強固にし、ついでに形を整える。



「にゃー(整地と、壁の設置が完了したぞ)」


「「ンナルガー(この場所から動かずに、わずか数秒で都市拡張……相変わらず、でたらめな能力ですね)」」



次は、いよいよ昼寝広場の建設だ。


建設といっても、することは簡単。

大きな岩をまばらに配置。

壺や木箱をたくさん配置。


爪とぎ用に、先ほど収納した木を間隔を空けて植樹。


こんなものだろう。



「にゃー(完成だ)」


「「ナルナル(おお、なかなか良さそうです。

ただ、水飲み場が遠いですね)」」



水か。


都市の水路は、引っ張ってこられるほど深くないし、井戸でも掘るか。


井戸予定地の、地下水までの土と石、岩を収納。

落ちないようにミスリル鋼で蓋をして、魔石ポンプ設置。

魔力を流せば、水を汲むことが出来る。


試しに魔力を流す。

ふむ、問題なく水が汲めているな。



「「ゴクゴクゴク……ナル(美味い! 水質に問題ありません)」」



よし、今度こそ完成だ。

さっそくネコ科魔獣達に使ってもらおう。



◇ ◇ ◇ ◇



「「ナルゥ(……来ませんね)」」


「にゃー(遠巻きに眺めているな)」



見慣れぬ物が出来たので、警戒しているのだろう。


おっ、意を決して広場にやってきた猫が居る。

ん? あれは……



「にゃ(ふぅむ、これは良い箱です。

どれどれ)」



配置していた箱の1つに入ったサバトラ柄の猫。

長老猫だ。

俺はてくてく歩いて、長老猫に近づいた。



「にゃー(居心地はどうだ?)」


「にゃん(これは猫又様! なかなか良い箱ですね。

しかし、日差しがキツイのが残念です)」



うーむ、日差しか。

パラソルでも立てるか。


首輪のPCで、パラソルに使われている素材を検索。

ふむふむ、樹脂に金属に……


錬金術で、パラソルもどきを作成。

地面にぶっ差し、錬金術で固定。


何だか昼寝広場がカオスな外見になってしまった。

もう知らん。俺にデザインセンスを期待しないでくれ。


長老猫の入っている箱に、俺も入ることにした。



「「ナルナル(私も!)」」



2つ首のネコ科魔獣も同じ箱に入る。



「にゃ(狭いです)」


「にゃー(だが、このみっちり感は癖になる)」


「ナルルァ(たまりませんねぇ……)」



俺達は昼寝することにした。

門番の2つ首君は、仕事をサボったせいで上司に怒られたそうな。


他のネコ科魔獣達も、数日後にはこの場所を使うようになった。

その中には、この間雑貨屋跡地で昼寝していた子ども魔獣も居た。


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