303.【後日談】【魂修復】


魂の損傷は生きているだけでも進行し、損傷度80くらいまで生きれば大抵の生物は寿命を迎える。


損傷のスピードは生物ごとに異なっていて、寿命が短い奴らは損傷が早く、逆に寿命のない神や神格化した者は損傷を生じない。

そして、損傷が積み重なると、病気になりやすくなる、スキルの成功率が低下する、などのデメリットが発生する。


ネル達を蘇生した際に、寿命が一時的にゴッソリと削れたのも、蘇生時の魂の損傷によるものだ。

今は彼女達は神格化して寿命が無くなっているので、病気で死んだりしないものの、病気にかかりやすい状態となっている。


そこで【魂修復】による魂の損傷治療だ。

損傷が無くなれば、生活に支障が無くなるはずだ。


魂の治療は1年につき損傷1程度しか回復出来ない。

神格化していない場合は、治療が損傷スピードに追い付かない。

ネル達を神格化させたのも、損傷をこれ以上増やさないためだ。


魂の損傷治療は単純だ。

一日一回、【魂修復】スキルを使い、その後魔力を流し続けスキルを維持する。


ちなみに、スキル使用の後に魔力を流すのは俺でなくても良い。

俺が作成した、時間経過ありの四次元空間内で監視網を張っているゴーレムの1体に任せよう。



「にゃー(おい、元ベヒーモス・ゴーレム。今からネル達の魂の治療を開始するから、サポートを頼む。

スキルを維持しておいてくれ)」



俺は、ベヒーモスの死体を素材にして作ったゴーレムに命ずる。


こいつは多くの国を滅ぼし、人、動物、魔獣、植物などあらゆる物を破壊しつくした大きなゾウの極悪魔獣だ。

死んだからといって容赦はしない。

魂はハーディス様の元へ行ってしまったが、死体にはこの都市の平和のために、ゴーレムとして永遠に働いてもらうことにしている。



「にゃー(『かの者達の本質を癒せ。【魂修復】』)」



俺のスキルの効果範囲はそれなりに広く、魔獣都市マタタビと賢者の森全域くらいならカバー出来る。

離れているネル達にスキルをかける。

その後、ゴーレムが魔力を流す作業に入る。


む、ゴーレムの魔力流しを、オリバー君、ヨツバ、シルフ婆さん、アウレネにブロックされた。

たぶん、知らない奴に何かされたら自動的に防衛するように、スキルを設定しているのだろう。

俺も同じような設定にしているし。


元ベヒーモス・ゴーレムに命令して、無理やり魔力を流すことも出来るのだが、流された者には全身に激痛が走るだろう。

下手すれば体が破裂してしまう。


仕方ない、4人にはゴーレムのことを伝えて、無害化しているから大丈夫だと伝えるとしよう。


俺は大きくアクビして、四次元ワープで森と宿に向かった。

それから、寝ている4人を起こして説明して、了承を取った。


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