285.【後日談】【クロスオーバー】蘇生本番


バイト4日目。

俺は命君のダンジョンに戻ってきた。


昨日はあの後、ホムンドール社が行った文化侵略の後始末の指示を、ホムンクルス達に行っていた。

おかげで丸1日潰れてしまった。


だが、これからはホムンクルス達は文化を一方的に与える存在から、共に育む存在へと変わるはずだ。

良い事だ。



「うきゅ~!

もっとしっかりサポートしゅるでしゅ~!」


「知るか。お前、下手すぎなんだよ。

あ~あ、3乙でクエスト失敗とか、久しぶりだな」



ダンジョンマスターの命君と、ホムンドール社長のコレムは一緒にゲームをやっていた。

ゲームタイトルは……モンスターふんたー?

よく分からんアクションゲームだ。



「にゃー(戻ったぞ)」


「おう。今忙しいから後でな。

レオス一式作るのを手伝ってやってるんだが。

こいつ下手だから防御重視の装備の方が良い気がするぞ。

ほれ、グラベ一式はどうだ?」


「しょんなゴちゅゴちゅしたダサイ装備は嫌でしゅ!

レオしゅしょう備の方がカッコイイでしゅ!

しゃあ手伝うのでしゅ!」


「それは構わないが、敵の攻撃はちゃんと避けろよ?

回避方法はこのボタンだ」


「知っているでしゅ!」



二人はゲーム内でモンスターを狩っている。

会話内容は理解出来ないが、お互い文句を言いつつも、何だか楽しそうにしていた。



◇ ◇ ◇ ◇



命君は、ゲームしながら話しかけてきた。



「さて、昨日の商談の続きだ。

俺はオワタ紙神のスポナーを9個購入して、設置すればいいのか?」


「にゃー(よろしく)」


「ダンジョンの魔獣だから、俺が命令して何かさせることも可能だぞ?」


「にゃー(できればじっとして無抵抗な状態にして欲しい)」


「そらよ」



命君は9個の卵をポイと投げる。


卵は床に吸い込まれ、オワタ紙神が9体現れた。


これから行うのは実験でなく本番。

失敗は許されない。


今まで何度もバッタや森の魔獣で練習した。

ハーディス様には24回怒られた。

いつか来る日のために、今日のために。

ずっと続けてきた。


やるぞ。蘇生を。


俺は集中し、【強化蘇生】を使用。

蘇生対象リストに載るのは、自分が1言以上話しかけたことのある者、かつ転生中でない者だ。


蘇生対象はネル。

蘇生する年齢は11歳にしておく。

魂損傷による寿命減少の影響がどの程度なのか分からないので。


1000年ぶりに、黒髪の少女、幼き頃のネルが現れた。


――――――――――――――――――――――――

蘇生結果

記憶損傷:0

魂損傷:85

魂損傷による残り寿命減少:65年→1ヶ月18日

――――――――――――――――――――――――


む、難しい。

例えるなら、軽自動車しか運転したことないのに、いきなり大型トラックの運転に挑戦したかのような感覚だ。


まあいい。

第一段階成功。



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