286.【後日談】【クロスオーバー】黒髪少女との再会


「あれー? 猫さんだー。

ここはどこ?」


エメラルド板に『ここはダンジョンの中だ。

理由は言えないけど、その紙で出来た人形を殺してくれ』と錬金術で文字を刻む。


「ふーん?

何でそんなことするのか分かんないけど、えい!」


ネルは腰のナイフを取り出し、オワタ紙神に刺す。



――――――――――――――――――――――――

鑑定結果

ネル残り寿命:1ヶ月18日→無限(ただし殺された場合を除く)

――――――――――――――――――――――――


第二段階成功。


あとは、魂の損傷を85年かけてゆっくりと治すだけだ。



「それー!」



って、オワタ紙神の2体目3体目にナイフを刺している?!



『もういいから、ストップ!』と文字を刻む。


「?」



オワタ紙神が4体ほど犠牲になり、残り4体となってしまった。

ま、時間が経てば復活するから良いか。


とにかく、ネルが復活した。



「にゃー(うぉぉおおおおお!)」



ぴとり。

俺はネルの足に抱きつく。



「猫さんどうしたの? 撫でてあげるー」



俺は頭をポフポフされた。


ああ、ネルは良いな。

変に距離を取ったり、媚びてきたりしない。


ネルのような奴がどれだけ貴重でありがたいのかを知るのは、皮肉にも彼女が死んだ後だった。

どいつもこいつも、俺を恐れたり敬ったり利用したりと、うっとうしいったらありゃしなかった。


時間が経つにつれ、ネルと過ごした時間がとても愛おしく思えて、もう一度共に過ごしたいと願うようになった。


それが、ネル達蘇生計画の始まりだった。



◇ ◇ ◇ ◇



しばらくして、ネルから離れる。



「変わった場所だねー。あっちに居る人間は、見たことのない魔道具を使ってるね」


「1、2、今だ!」


「しゅい爆溜めしゃん起爆、くらうでしゅー!」



ドカン! てってれれーててててー♪

剣がモンスターの頭に叩きつけられ、樽が爆発した。

そしてファンファーレが鳴る。

ゲームのステージをクリアしたのだろう。



「ところで、私はどうしてこんな所に居るの?

さっきまでママと一緒にお料理してたはずだけど」



んん?

ナンシーさんと料理を?

何を言っている?



「猫さん、早く宿に帰ろうよ。

ママやヨツバが心配するよ?」



ヨツバは、ネルが20歳の時に宿から出て行ったのだが。

覚えていないのか?


おかしいな。

蘇生時の記憶の損傷は無かったはずだ。


ちょっと記憶テストしてみるか。


俺はエメラルド板に質問を刻む。



『今、ネルは何歳か。

ネルの娘2人の名前は何か。

ニコの息子の名前は何か。

森に居たエルフの名前は何か。

ヨツバの経営していた店の名前は何か。

ネルの宿で一泊する場合、何G必要か。

ネルの母親の名前は何か。

……』


「えっとねー、私は11歳だよ。

娘? 私まだ11歳だよー?

ニコはまだ赤ちゃん産まれてないよね?

森のエルフのお姉さんの名前は、えーと、アウレネだったかな?

あとは……」



ネルの返答をもとに考える。

11歳より前の記憶はある。

だが、それより先の記憶が無くなっている。


つまり、蘇生した場合、その年齢の記憶までしか戻らないということか。


神スペースにネルを招待し、記憶サルベージを試みる。

しかし、前世情報にネルの情報が無かった。


代わりにネルの前世の記憶を何人分も見た。

つまりは、ネルを蘇生した時点で、ネルの記憶は前世の記憶扱いされなくなったということか?


まだ分からないことが多いが結局、ネルの11歳以降の記憶は戻らなかった。




□□□□□□□□□□□


□後書き□


以下、小説内に載せきれなかった設定。

蘇生のデメリットとして、復活時点の年齢以降の記憶が無くなります。

無くなった記憶は経験値として、ハーディス様に還元されます。

転生・蘇生しない運命の魂の記憶も、全てハーディス様の経験値になります。

死んだ時にスキルが全て没収されるのも、ハーディス様に還元されています。


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