452.【後日談4】魔獣都市マタタビ誕生祭 その1


雑貨屋クローバーのカウンターの上でおやつのニボシをかじっていると、ヨツバが話しかけてきた。



「猫さん、来週から3日間、魔獣都市マタタビ誕生祭があると聞きましたが!」


「にゃー(それが何か?)」


「何でもっと早く言ってくれなかったんですか!

浴衣とか何も準備してないですよ!」


「にゃー(祭りといっても、花火とか催しとかは無いぞ。

ネコ科魔獣はうるさいのが苦手だからな。

せいぜい市場の通りに屋台が並ぶくらいだ)」


「祭り……イケメンとの夜のアバンチュール……ふひひ」



ヨツバは怪しげに笑いながら、雑貨屋を出ていった。

何だったのだろう。



◇ ◇ ◇ ◇



夜中の中央広場にて。

今日も魔獣幹部達の会合が開かれる。

議題は来週からのお祭りについて。



「うんみゅう(毎年、屋台用の金券交換所を用意するのが面倒だった。

でも、今年は電子マネーの首輪のおかげで、だいぶ楽になる)」


「外からのお客さんはどうするんだい?

首輪持ってない連中がほとんどだねぇ?」


「にゃー(首輪のストックは1000万ほどある)」


「なら安心だねぇ」


「ガゥ(例年通りなら、暴動の鎮圧は猫のお巡りさんとゴーレムが行う予定だが、数や配置は例年通りでいいのか?)」


「にゃー(それに追加で、アレックス君がハイブリッド・ゴーレムの試作機を貸してくれたのを、10体ほど配置する予定だ)」


「んなー(食品の衛生指導は既に終わっていますぞ)」


「アァー……予算……オケー……」



ゾンビキャットがまとめてくれた、スポンサーの店舗の一覧を眺める。

今年は雑貨屋クローバーも入っているが、他の店舗より桁が2桁くらい出資額が多いのは、やり過ぎな気がするが。



「ガォ!(これだけのお金があれば、屋台に美味しいお肉が仕入れられるな!)」


「んなお(中央都市チザンから、高級なお肉を沢山買いましょうぞ!)」


「楽しみだねぇ!」


「うみゅう(タダ飯ほど美味しいものはない)」


「アァー……じゅるり」


「「「みゃー!!(お・に・く! お・に・く!)」」」



外野のネコ科魔獣達もテンションが上がる。



「にゃー(おっと、そうだ。俺から提案があるのだが)」



ヨツバが祭りを楽しみにしていたし、せっかくだから人間も喜べるようなのにしてみたい。



「にゃー(学校区画に、少し騒がしいが、催しを開催する場を設けてもいいか?)」


「んなう(催し? 構いませんが、間に合いますかな?

もう日付がありませぬが)」


「ガゥ!(えっ、予算減るの? 高級お肉が減る……)」


「「「みゃぁーーッ!!(だめー!!)」」」


「にゃー(心配するな。予算は俺のポケットマネーで何とかする)」


「うみゅみゅ(次からは、もう少し早く言って欲しい。そうしたら予算を割けるから)」


「にゃー(あぁ)」



さて、日付も余裕がないし、パパッと手配するか。



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