541.【後日談5】異世界転移! 魔獣都市マタタビ その12


・転移者 橘若菜視点



「つまり、ニャンドラゴラが頭に花を咲かせるのは、喜びの感情表現であり、種を作るためではない?」


『にゃああああん(やー、ざっつこれくと)』


「みゅ~(それじゃ、子どもはどうやって作ってるにゃ?)」


『にゃあああん(ネコ科魔獣と同じー)』



つまり、オスのピーをメスのピーにピーすれば子どもが出来ると。



「マンドラゴラとは違うんだね」


『にゃあああん(名前が似てるからって一緒にするなよー、サメとイルカくらい別物だよー)』


「みゅ~(サメといえば、フカヒレ入りの缶詰が食べたいにゃ~)」



暴力的白猫は、雑貨屋クローバーの店内をテクテク歩き、缶詰の1つを購入した。

フカヒレ入りマグロ缶だ。



『にゃああああああん(人間も猿やゴリラと似てるけど別物だろー、それと一緒だよー)』


「似てる……?」


「みゅ~(なるほどにゃ~)」


「おい、店内で飲食するなら飲食コーナーに行けッ!」



暴力的白猫がこの場で猫缶を開けようとして、店員さんに怒られた。



「みゅ~(じゃあ一件落着したみたいだし、ばいばいにゃ~)」


「あっ、うん。ありがとう」



暴力的白猫は、猫缶を食べるために飲食コーナーへと行ってしまった。



『にゃあああああん(みーも、そろそろ出かけるから、またねー)』


「またね」



ぶつん。若ニャンとのビデオ電話が切れた。


こうして、私の早合点による事件(何も起きていない)は終わったのだった。



◇ ◇ ◇ ◇



お昼ご飯のレトルト食(ワニ肉のソテー)を自宅で食べて、いざアンケートへおもむかん。


まずは客層調査。私は朝~夕方に働きたいから、ターゲットは多分人間メインになると思う。


なので人間相手にアンケートを行う。


あんまり長いアンケートだと、相手に断られてしまうだろう。

性別、年齢、職業、趣味、欲しい物、悩みの6項目くらいを、30人ほどに聞くことにする。


アンケートに答えてくれた人には、ささやかなお礼として100マタタビほどプレゼント。

アンケート後の心象が良くなるし、場合によっては次から積極的に協力してくれる可能性もある。


アンケート用紙は、雑貨屋クローバーにて100枚ほど刷った。

コピー機っぽい魔道具があるのだ。


さて、やりますか。



◇ ◇ ◇ ◇



「悩みねぇ。特に何も……ああ、あったわ。

雑貨屋クローバーで買ったリバーシ。

友達と遊んでいると、横からネコ科魔獣に石を取られてオモチャにされるのよねー」


「はぁ、なるほど」


「もういいかしら?」


「どうも」



お礼の100マタタビを渡すと、主婦が去る。

私は聞いた話を、用紙に書き込む。


30人に聞いてみた感じだと、悩みはあまり無さそうだった。

趣味も無い人がほとんど。適当に駄弁だべって過ごしているらしい。

物欲に関しては、高級な嗜好品が欲しいけどそれ以外は満たされている、って感じ。


もう4、5日くらい調査してみようかな。

一応、人間だけじゃなく猫に聞いてみたり、昼だけじゃなく夜の時間帯にも聞いてみたりしよう。


私は雑貨屋クローバーに、追加のアンケート用紙の印刷をしに行くことにした。


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