542.【後日談5】異世界転移! 魔獣都市マタタビ その13
・転移者 橘若菜視点
私は、何故か異世界転移前に勤めていた会社の会議室に居た。
「そう! 言われた事だけする人間は、将来AIに仕事を奪われます!
大事なのは、従業員であっても、経営者視点を持つことです!
この仕事は経営者にとってほにゃららの意味を持つから、必要だ!
そうだ、なんちゃらがあれば経営者は喜ぶのではないか? 提案してみよう!
そういったマインドを持てば、会社全体の成長につながり……」
部長が一所懸命に何か喋ってるけど、周りの人間は退屈そうにしている。
「部長、質問があります」
「ほぅ! 言ってみてください橘君!」
「異世界に転移……じゃなくて、海外でビジネスを新規で始める場合、どうやって大成させますか?」
「私の話とは関係のない質問ですね! ですが海外進出という視点も素晴らしいですよ!
まず日本との違いを把握するのは当然として……ビジネスは、ゼロを1にするのと、1を10にするのと、10を100にするのは同じくらいの労力が要ります!
その国でゼロを1にするつもりなのか、1を10にするつもりなのか、10を100にするつもりなのかをよく考えましょう!」
「じゃあ、既に100の物は増やせますか?」
「それは厳しいと言わざるを得ませんね!
よほど海外製品より優れている自信があるならともかく、新規参入の余地が無いと思われます!
ですが何事も挑戦! リスクの小さな事から始めるといいでしょう!
海外進出するにしても、まずは小さく始めて、好感触なら本格的に参入、駄目そうなら撤退!
挑戦を繰り返し、ノウハウを蓄積すれば、おのずと成功へと近づくことが出来ます!」
うーん、部長の話はどこかで聞きかじったような知識ばかりで、全く参考にならない。
ま、別に期待していなかったのだけども。
さて、私は既に地球には居ないはずなので、この状況は、100パーセント夢の中なのだろう。
そろそろ目を覚ますとしよう。
私はほっぺたをつねる。全く痛くない。
すると、眠そうにしていた同僚が、ハッ!? と顔を上げる。
「みゃああああーん!(今日は新作ちゅるるーんの発売日だー!)」
同僚の顔が、何と黒猫に変わっていた。
「んにぃぃいいいいい!(それは大変ですね! 急いで確保しなければ売り切れます!)」
部長の顔が、茶トラ猫に変わっていた。
そして部屋はにゃーにゃー猫の鳴き声に包まれる。
何だこれ。
私はポケットからスマホを取り出し、自撮りモードにして自分の顔を確認する。
すると、ブッサイクなサバトラ猫が見つめ返していた。
「ま゛ぁぁあああああ(にゃーん)」
鳴いてみると、思ったよりも太い声になった。
そして気が付くと、部長も同僚も全身猫になっていて、会議室は
◇ ◇ ◇ ◇
がばっ。
私はベッドから起き上がる。
「えらく疲れる夢だった……」
昨日はネコ科魔獣達にアンケートを実施したのだ。
多分その影響だろう。
彼らの興味は、食べることと遊ぶこと、そして快適な睡眠。
それ以外は別に関心が無さそうだった。
あと、悩みも無さそうに見えた。
人間って何でずーっと同じ事で悩むにゃ?
解決出来ないなら仕方ないって切り替えて、楽しい事探す方がいいにゃー。
と、暴力的白猫に言われた。確かにその通りなのだけど。
アンケートを7日間行ったけど、そろそろ潮時だろう。
あとはデータを精査して、需要を掘り出す必要がある。
あー、パソコンが欲しい。
アンケート期間中はビデオ講座を3時間、実技を1時間ほど頑張っていたけど、今日からビデオ講座視聴を7時間に増やすことにする。
そして2時間ほどアンケートの精査。これでいこう。
ぴこーん。
首輪に通知が来た。
メッセージと写真が宙に表示される。
『猛獣狩りに参加したよー』
甲板っぽい場所に居る若ニャンの写真と、その横には大砲がずらり。
そしてその後ろ、遠くの方に、巨大な山のような、岩っぽいゴツゴツした魔獣がひっくり返っていた。
モ〇ハンのダ〇ン・モーラン戦かな?
旅行、楽しそうで何より。
今更ながら付いていった方が良かったかなと若干後悔している。
『今日帰るから、お土産期待しとけー』
猫って
違うとしても、私が期待するような物はお土産には出ないと思っておいた方がいいだろうね。
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