320.【後日談】グローバルにゃんこ
ここは森。深夜なので、皆寝ている。
俺はこっそりと、空中の通話ボタンを押した。
「はい。こちら黒ぬこヤマモト宅配便、カスタマーサービス窓口の西澤です」
おお、繋がった。
空中に四角の枠が現れ、男の人の顔が映る。
んー、ロボットっぽいな。
「にゃー(猫語ですが、通じますか?)」
「はい。問題ありませんよ。
誤差0.0000001%以下で翻訳する、最新鋭の機器を弊社は導入していますので。
ラテン語だろうとジャプリッシュだろうとオンドゥ〇語だろうと異世界言語だろうと猫語だろうと、何でも通じます」
俺の首輪は、ダンジョンマスターの命君がくれた首輪型高性能PCであり、インターネットが利用できる。
で、試しにネット電話をかけてみたのだ。
「にゃー(貴社のホームページを見て、疑問に思った点があるのですが)」
「はい」
「にゃー(どの世界へ配達する事も出来ます!
とありますが、私の世界へ、または私の世界から配達を行う事は出来ますか?)」
「はい。ただし危険度10段階で4を超える地域については、配達員の安全を考慮し配達を控えさせて頂く場合がございます。
失礼ですが、お名前を伺っても?」
「にゃー(トミタ・ミナモトです)」
「はい。トミタ様ですね。
ご使用のPCから、危険度チェックが出来るはずなので、そのレポートを頂戴致します。
よろしければ、許可ボタンをタップしてください」
許可、というボタンが空中に現れたので押す。
「はい。トミタ様の世界は、危険度2ですね。配達に問題ございません」
「にゃー(ありがとうございます。近いうちに貴社のサービスを利用したいと思います)」
「ありがとうございます」
「にゃー(では失礼します)」
ガチャリ。俺はネット電話を切った。
続いて、ニャホーオークションのサイトを開き、出品価格をチェックする。
様々な世界から、様々な商品が出品されている。
値段もまちまち。
俺は、商品になりそうな物を四次元空間から取り出し、PCで写真を撮り、写真と商品情報をオークションに載せた。
10分で即決価格へ到達したので、俺のネット口座への入金を確認した。
さっそく、黒ぬこヤマモト宅配便で商品を送ってもらうことにした。
「にゃー(今後、基本的に黒ぬこヤマモト宅配便には攻撃禁止な)」
都市の防衛をしているゴーレム達に聞こえるよう、呟く。
30分後、空中に裂け目が生じ、トラックが現れた。
トラックを見たの、久しぶり過ぎる。
中から人間の見た目のロボットが現れた。
「ニャホーオークションの出品物の配達ですね。
配達物を拝見いたします」
四次元空間から、ドラゴンの肉、高純度ミスリルインゴット、エリクサー、未使用のスキルの書をそれぞれ数点出す。
「危険物はありませんね。梱包致します」
郵便局や宅配便窓口に行かなくても来てくれるというのは便利だな。
梱包を終え、荷物を積み終わったロボットは、俺のネット口座から配達代を引き落とす許可を求めてきた。
許可し、代金引き落とし明細を発行し、確かに配達代が支払われたことを確認した。
「ありがとうございました」と言い、ロボットはトラックに乗った。
積荷を積んだトラックは再び空中の裂け目へと走り、そのまま消えた。
1時間後、買った人の元に品が届いたらしく、俺に5つ星評価を付けてくれていた。
ありがたい。
ネット口座の金が溜まれば、出来る事が増えるぞ。
買い物したり、ネットショップを開いたり、何かしらのオンラインサービスを受ける事も出来る。
この1週間後、俺はレンタルサーバーを借りて、雑貨屋クローバーのオンラインショップを開くことになる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます