184.いちゃもんとその末路
翌日。
俺は雑貨屋クローバーの屋根に上り、昼寝していた。
店内で居ると、まれに客がモフモフしてきてウザイのだ。
客の手が届かない所に昼寝スペースを作らなければ。
チャールズ君は、エルフ達とともにせっせと周りの家の解体作業にあたっている。
「ママ、おうち壊しちゃうの?」
「坊、危ないから下がってなさい」
この家の持ち主だった家族が見物に来ていた。
一応俺は、貰った土地の元住人達には王様から2億Gずつ渡すように言ってあった。
その金も俺が貰った金から出しておいた。
なので、貧窮して生活に困る、ということは無いはず。
「おい、クソエルフ共!
いったい誰の許可を取って解体作業をしてるんだ!
ええ!」
人間の男集団10人ほどが、ニヤニヤしながらチャールズ君の近くへやって来た。
大工ギルドの建て物内で見た顔も居る。
面倒事の臭いがするぞ。
「何や、酒臭い連中やなぁ。
ワイらに用があるなら聞くで」
「勝手に人の家を壊して、あげく人間様に対してその態度!
これだから低能エルフは困るな!」
うーむ、憲兵を連れてくるとするか。
俺は四次元ワープで憲兵詰め所に移動。
「これは大魔導士様! 何かあったのでしょうか!」
憲兵さん3人相手に『ちょっと来て』と書き、そのまま四次元ワープで俺達は移動。
戻ってくると、オリバー君が仁王立ちしていて、男4人がその場に倒れていた。
「いったい何をしている!」
「うむ、憲兵殿ッ。いちゃもんをつけてくる男どもの腐った性根を鍛え直していたところだッ」
「お前達、ちょっと詰め所まで来い!」
「えっ、私達は大工ギルドで仕事があるので……」
「来ないというのなら、公務執行妨害で貴様を奴隷落ちにするぞ?」
「ひ、ひぃぃぃいいい!」
男達が逃げようとしたが、俺は【四次元空間】で石を男達の前へ取り出し、躓かせた。
エルフ達と憲兵が、男達を縛る。
「我々から逃げようとは良い度胸だな。
この件、陛下へと、しっかりと報告させてもらうからな」
「わ、我々は悪くありません!
そこのクソエルフ共が……」
「まだ言いわけする気か!」
男達とオリバー君、そしてエルフ数人は憲兵に連れて行かれた。
俺もついでに付いて行った。
事情聴取の結果、悪いのは完全に向こうだと分かってもらえた。
その後、大工ギルドに憲兵が調査に入った。
脱税やら不当請求の跡やら違法麻薬やら手抜き工事の証拠やら、次々と出るわ出るわで大変だったらしい。
王令により大工ギルドは解体。
しばらく王都で大工仕事が滞ってしまった。
だがそんな中、普通に大工仕事をしているチャールズ君達に、世間の商人達は注目した。
どうか大工仕事を請け負って欲しい、と。
やがて数年後、チャールズ君を筆頭にした新生大工ギルドが王都で発足するのだが、それはまだ先の話である。
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