397.【後日談2】【クロスオーバー(メニダン)】最終告知
翌日。
この旅行も、今日を入れてあと2日だ。
朝食は猫用のウェットフードを食べてみることにした。
パウチに入っているため、開けるまで風味が落ちないのだ。
さっそく開けてみた。
牛肉がベースになってるんだな。
う~ん、いい香り。
お皿に乗せてみる。
これで1人前か。
少ないな。
もぐもぐ。
……味はともかく、食感が微妙だな。
噛みごたえが足りない。
まあ猫によって好みが違うんだろうけど。
ウェットフードだけでは食べ足りなかったので、猫用おやつソーセージを開けて食べることにした。
魚肉の香りがたまらない。
「猫さん、おぁようございま~す」
「にゃー(おはよう)」
ヨツバが起きて、トイレに入る。
毎回思うのだが、どうして尿を出す時に水を流すのだろうか。
俺に気を使っているのかもしれないが、耳が良いので尿の音も普通に聞こえるのだが。
正直、水の無駄使いだよな。
ま、それを指摘したら変態呼ばわりされそうなのでしないけど。
トイレからヨツバが出てきた。
「今日は朝食要りません」
「にゃー(そうか)」
もっしゃもしゃ。
ソーセージ美味い。
2本も食べてしまったぜ。
ん? ヨツバはまた寝るのか。
何故か、ため息をついている。
どうしたのか。
傍に近寄ってみる。
「……はぁ」
じーっ。
「……何ですか」
『元気が無いな』と首輪型PCで打つ。
「放っておいてください。はぁ……」
見た感じ、体調が悪いとかではないらしい。
気分の問題か。
◇ ◇ ◇ ◇
町に出て、ネル達に見せるための写真をいくらか撮ってきた。
誰の目にも見えないように移動したから、騒ぎにはならないはずだ。
見つかったら色々と聞かれて面倒そうだからな。
四次元ワープでマンションの部屋に戻り、『メニィ・ダンジョンズ・オンライン』を起動し、いざゲーム世界へ。
ここは俺のダンジョン内の入り口付近。
付近に人は居ない。
ま、居たとしても何も支障はないのだが。
これからやる事は、ソフの配下の豚の魔獣、オークっぽい見た目をしている奴の許可を得ている。
デバッグモードを起動。
NPCの脳内にのみメッセージが送られるように設定した。
空中に現れた疑似キーボードでメッセージを一斉送信だ。
『既に聞いている者も居るかもしれないが、告知だ。
この世界は今日を含めて、現実世界であと2日で消滅する。
現実世界で暮らしたい者は、現実世界へと連れて行ってやろう。
消滅するのは嫌だが電脳世界に留まりたいという奴は、別の電脳世界を用意するのでそこに住んでもらおう。
どちらも嫌だという奴は、残念だがお別れだ。転生する事もなく、消滅してしまうだろう。
現実世界で明日の10時に、返答を聞くことにする。
それまでにどうするか、各自、決めておいてくれ』
このメッセージは、NPCが聞き返したいと思えばいつでも聞けるように設定してある。
これで明日には、どのNPCを現実世界に再現すれば良いのかが決まる。
リバース・インテリジェンス計画に巻き込まれた人間だけを再現すれば良いのかもしれないが、パズズと黒鉄のように、この世界で仲良くなった者を引き離すのも気が引けるしな。
少々増えたところで大した手間ではないので、ついでに再現してやろうというわけだ。
さて、あとはダンジョンの中のNPCの様子を見てからログアウトするかな。
……ん? NPCの魔獣が俺のダンジョンに入ってきたな。
珍しい。
入り口から現れたのは、竜人型の魔獣。
「ヨツバ様のご友人の、猫さんでいらっしゃいますか?」
「にゃー(誰だ? ヨツバの知り合いか?)」
「はい。ヨツバ様に仕える、ドラゴニュートのドラでございます。
ヨツバ様の現実でのご様子が伺いたく、参りました」
ヨツバのダンジョンの魔獣か。
そういえば今日はヨツバはゲームしてないな。
俺はドラという魔獣と話すことにした。
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