164.これは病気?
・パーシー視点
「ボクも、もう19になって、そろそろ身を固めないと世間体が悪いらしい。
兵士詰め所や知り合いの男で、フリーなおすすめの人を教えて欲しい」
ニコ様は今、何と言った?
「聞いてる?」
「は、はい」
いかん、動揺してしまった。
それにしても、俺とニコ様が同い年だったとは。
何だか嬉しい。
……いや、そんなことを言っている場合ではない。
このままだとニコ様はどこかの男とくっ付いてしまう。
それが嫌だと思うのは、俺のわがままなのだろう。
俺に脈が無いとしても、せめて知っている信頼出来る男に任せたいものだ。
「この年になるまで男に縁が無いのも、きっとボクに魅力が無いからなんだろうね。
だから、あまり好みのうるさくない男を」
「魅力が無いなんて、とんでもない!
ニコ様は真面目な素晴らしい方ですよ!
毎日夜遅くまで、国のために研究を続け、後の学者のために休日返済で本を執筆されている!
手が荒れるまで錬金術の薬開発をして、錬金術の講義は国中の錬金術師が部屋一杯になるくらい受講している!
他にも……」
「あ、ああ。ありがとう。
おせじでもうれしいよ……それじゃ、ボクは忙しいからこれで」
俺がまくしたてたのに引いたのか、ニコ様は席を慌てて立ち、ささっと帰ってしまった。
あーあ……嫌われてしまったかな。
いいや、いいさ。
俺はニコ様があんな寂しそうな顔をして自分を卑下しているのが嫌だったんだ。
席を立ち、俺も店を出ることにした。
心が落ち着かない。
こんな時は、城に戻って訓練でもしよう。
◇ ◇ ◇ ◇
・トミタ(猫)視点
「あ、ニコ! お帰り!
さっきね、旅商人のおじちゃんがコショウを大安売りしてくれたんだよー!
だから今日の夕食はキラーボアの塩コショウ焼き!
おいしいよー!」
「ああ、ごめんねネルちゃん。
ボク、外で食べて来たんだ」
ネルはしゅんとなる。そんなに喜びを共有したかったのか。
にしても、マック君の顔が赤いような気がする。
風邪かな?
彼……じゃなくて彼女は、しょっちゅう徹夜してるからな。
体調を崩したのかもしれないな。
念のため【ヒール】しておこう。
何度か【ヒール】をかけたが効果なく、原因が分からなかったので【鑑定】した。
だが、特に病気らしき物は見つからなかった。
うーむ、気になるが、病気でないのならまあいいか。
「……ふふっ」
何故かいきなり笑うマック君。
気味が悪いぞ。
いったいどうしたというのか。
マック君は今日1日、ずっとこんなだった。
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