114.デザートアプル


以前俺とアウレネは、デザートアプルという果樹を砂漠に植樹した。


その木に実がなっているらしいから、森の隣の砂漠へ様子を見に行くことにした。



「にゃんこさん、ほら!」


「にゃー(うそだろ)」



アウレネが指し示す。

木が成長しており、ピーマンみたいな形の実をたくさん実につけていた。

エルフ達がせっせと収穫している。


普通木って、伸びるのに何年もかかるはずだが。



『成長早すぎじゃね?』と書く。

まだ半年くらいしか経ってないはずだぞ。



「ふっふっふ~。この木はそういう品種です~。

幹が細いから木材には向きませんが、甘い実をたくさんつけるですよ~」



確かに、木は人間の腕より少し太いくらいの太さしかない。

それに背丈もアウレネと同じくらいしかない。

実がなったことで折れそうなくらい枝が下がっている。


アウレネはそのうちの1つを取る。



「にゃんこさん、どうぞ~」



猫ってりんご大丈夫なのか?

いや、そもそもこの貧相な実がりんごなのかどうかよく分からん。


【鑑定】っと。


――――――――――――――――――――――――

鑑定結果

デザートアプルの可食判定

結果:可能。種に注意すれば食べられる。

――――――――――――――――――――――――


問題なさそうだ。

よし、じゃあ食べるか。

いただきまーす。


かりっ。ぽりぽりぽりぽり。

……種を咬み砕く音だなこれ。

まあいいか。


味は……甘すぎ。

どんだけ果糖入ってるんだよ、これ。



「う~ん、美味しいです~」



横でアウレネがデザートアプルをほおばっていた。

俺にはきつい甘さだが、ネルやマック君が喜びそうだな。


皆で収穫したうち、樽2つ分くらいを分けてもらった。

明日宿に行った時のお土産にしよう。



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