91.追加発注
・フランベル4世視点
マクドーンが猫さんと呼んでいるケット・シーが、妙な物を開発したらしい。
それが私の目の前にある機械だ。使い方は聞いたが、普通に紙に自分で書くのと何が違うというのか。
とりあえず、使ってみよう。私はインクと紙をセットした。
まったく、わざわざこんな機械で文字を書かなくても……何っ!
凄い! 文字を打った瞬間に、次の文字が打てるように紙がスライドするではないか!
そして文字を1行打ち終えたら、改行するボタンまで付いている!
何より、文章を作るスピードが、手で書くよりも断然速い!
これまで多くの学者は、本を手書きしていたため、どうしても執筆時間がかかることが問題だった。
そのため、あまり本は出回らず、弟子や書記が師匠の代わりに本を書く、というのが一般的だった。
だが、この発明品が出回れば……学者の執筆時間が減る!
さらに本がたくさん出回る!
本が出回れば! 国の教育水準や技術水準が伸びるぞ!
これは革命的な発明だ!
早速ドワーフ達に、追加発注せねば!
私は兵士に使い走りを頼むことにした。
◇ ◇ ◇ ◇
・ヨツバ視点
母親のナンシーさんは、仕事中もずっと私を放さず抱いていた。
どうやら私が死にそうになったせいで、過剰な心配をしているらしい。
だが、母親が居ると、スキルの訓練が出来ない。
周りにばれたら目立つから、一人になりたいのに。
仕方なく、皆が寝静まった頃にこっそりとやっている。
その中で、【四次元空間】が特に使い勝手が良い。
このスキル、MP消費が無いらしい。代わりに容量の制限があるみたいだが。
ナンシーさんとネルが寝た後、私は本やテーブルを仕舞ったり出したりして、【四次元空間】スキルの練習をした。
疲れたら【フリーズ】の魔法の練習をする。
昨日は氷の塊が溶けた跡をナンシーさんが見つけて、拭いていた。
あやうくスキルがバレるところだった。
今度はそうならないように、テーブルに置いてある水差しの中へ氷が入るように、氷でブロックを作る。
フリーズ!
数日の実験から分かった事は、どうやら複雑な形ほどMPを消費するらしい。
そして、大きいほどMPを消費するらしい。
この調子で、スキルの訓練を続けよう。
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