30.イノシシもどき
おはよう。今日もいい天気だ。
俺は黒鉛らしきものを取り出す。
それを棒状に削り、ツタでぐるぐる巻きにする。
簡易鉛筆の完成だ。
木の板を取り出し、ためし書きしてみる。
闇を照らせ。ライト。っと
ライトニングとヒールの呪文もメモしておく。
人間、忘れないと思っていても忘れるものだ。
俺は猫だが。
◇ ◇ ◇ ◇
「ぶぉおおお!」
昼寝してたら、家の下から騒がしい声が聞こえてきた。
何だ?
出て行って見てみると、何とイノシシもどきが俺の家の木を掘ろうとしてるではないか。
――――――――――――――――――――――――
鑑定結果
Lv:10(4歳)
種族:キラーボア
スキル:【突進】
ステータス:
HP 74/74 MP2/2
ATK35 DEF16 MAT1 MDF11 SPD30 INT4 LUK10
雑食のイノシシ型魔獣。
その牙で人を殺して食っているところから名前が付けられた。
――――――――――――――――――――――――
「にゃー(やめろー!)」
「ぶほぉぉおおお!」
駄目だ、やめる気はないらしい。
仕方ない。
俺は無駄な殺生は好まないが、我が家を壊そうというのなら容赦しない。
俺は木から降り、イノシシの首を刈る。
これで血抜きが楽になるってもんだ。
って、俺のかまどが壊されてるー?!
酷い! 酷すぎる!
作り直すか? でもまた同じことされるかもしれないし。
対策が必要だろう。
俺はしばらく考えて、四次元空間内の大量の岩石の存在を思い出す。
◇ ◇ ◇ ◇
イノシシもどきを川に漬け込んだ後、俺は自宅の木まわりに
モグラどころか重機もびっくりの掘削能力だ。
堀に水は張らない。
水を引くのは面倒だし、氾濫したら大変だからな。
それが終わったら、自宅をかこむように石を積み上げ、粘土を塗り固めて補強する。
お堀+石壁の二段構えだ。
お堀には細い木を3本、橋代わりに渡してある。
人間くらいならなんとか通れるだろうが、イノシシもどきの巨体では無理だろう。
作業が済んで夕方になる。
俺はイノシシもどきを回収、解体してしまう。
解体は簡単だった。
新薬研究の仕事で、ネズミを山ほど解体してたからな。
哺乳類なら、体の構造はそうそう変わらない。
内臓は心臓以外は食わない。
でも、撒き餌や罠なんかに使えそうだから、捨てずに四次元空間にしまっておくが。
心臓の肉、通称ハツを竹の串に肉を通して焼いた。
ハツは新鮮なら食べられるのだ。
美味かった。
もちろん食べきれないので、残りは四次元空間行きだが。
即席かまどは石をコの字に並べて作った。
食った後は、粘土のかまどの作り直しをする。
作業は夜遅くまで続いた。
二度目だからだいぶ作業は最適化されて早かった。
家に帰ったら強烈な眠気に襲われた。
そのままぐたりと倒れこむ。
おやすみなさい。
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