477.【後日談4】防犯訓練


昼間の宿屋にて。

俺は廊下の窓から外の観察をしていた。



「みゃお(猫又様、今日は良い天気ですね)」


「にゃー(あぁ)」



サバトラ猫のサバさんが来た。

俺達は一緒に窓から外の観察をする。



「にー(何してんのー?)」


「みゃう(日向ぼっこです)」


「んみ(僕もー)」


「まぅ(俺も)」



シャム一家が世話している3体のネコ科魔獣もやって来た。

いや、狭いんだが。



「みゃうう(温々ぬくぬくです)」


「にゃー(暑苦しい)」



俺はサンドされつつ、一緒に窓の外を観察した。

今日も通りは平和だ。



◇ ◇ ◇ ◇



中央広場にて。

今日は2ヶ月に1度の防犯訓練。


今回はひったくりが出現したという想定だ。



「みー(この高級ステーキ肉は頂いていくぜ!)」


「びゃぁあああああ!(僕のお小遣いで買った、高級ステーキ肉が盗まれたー!)」



……犯人役、じゃなく犯猫役と被害者役が棒読みなのは、まぁ仕方ない。



「んなー(ここで慌てて追いかけては駄目です。

まずは大声で周りに助けを呼びましょう)」


「びぃぃ(助けてー! サビ鬼猫に高級ステーキ肉を盗まれたんだ!)」


「にゃー(分かった。俺がお巡りさんを呼んでやろう)」



ま、実際に犯罪が起きたら、この魔獣都市マタタビでは自動的に通報されるのだが。

犯猫役をお巡りさん達が囲む。



「みー(くそっ、もうサツが来やがった!)」


「くるにゃ(観念しろ、連続高級ステーキ強盗犯)」


「みー(あーれー捕まってしまったー)」


「にゃー(これでめでたし、めでたしだ。質問はあるか?)」



茶色の毛なのに、頭を金髪に染めている不良ネコ科魔獣が手を挙げた。

頭皮を痛めると将来ハゲるぞ。



「なん(相手が肉球魔王様や魔獣幹部だったら、お巡りさんが捕まえるの無理じゃね?)」


「にゃー(そういう時は、指名手配し、社会的に抹殺するんだ。

都市の店やサービスの利用を出来なくさせ、犯人を孤立させる。

その後、残ってる魔獣幹部達等の戦力を集めて捕まえるんだ)」


「なお(へー、なるほど)」



実際、魔獣幹部の1体2体が裏切ったところで、幹部相当の者と協力すれば、俺無しでも捕まえられるだろう。


俺が犯罪者になった場合は?

命君にでも協力してもらわない限り、止まらないかもしれないな。

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