84.転生者ヨツバ
□前書き□
小説家になろうでも掲載していますが、初期のヨツバは非常に読者受けが悪かったです。
多少ウザい奴ですが、大目に見てやってください。
□□□□□□□□□□□
・ヨツバ視点
下校中、トラックに轢かれた私は、女神ハーディスの部下なるものによって転生させられた。
赤ん坊姿で。転生前と同じく、女の子だ。
産まれたての私はまともに喋れず、力が弱過ぎてあまり動けない。
母親らしき人物が私に声をかけてくれる。
3日前にヨツバという名前を貰ったばかりだ。
生前の名前は……思い出せないけどいいか。
「ヨツバったら、あんまり泣かないわね。
先生に診てもらっても問題ないって言ってたから、まあ大丈夫なんでしょうけど」
異世界転生特典で話し言葉の意味が理解できるらしい。
私は、大丈夫だ、と言おうとするが、
「あー、あー」
赤ちゃん言葉しか話せない。困った。
「あら、ミルクかしら?」
違うが、まあいいや。母親の乳を吸う。
薄めた牛乳の味だ。
赤ん坊は頻繁に水分を摂らなければ脱水になってしまう。
ありがたく頂戴しよう。
「ママー! ヨツバちゃんに本を読んであげてもいいー?」
この少女――といっても私より大きいのだが――はネルというらしい。
黒髪の少女で、産まれたての私に構ってくれている。
「いいわよ。でもちょっと待ってね。
今ミルクをあげているから」
「猫さんもおいでー」
「にゃー」
ネルの声に反応して、猫もやってくる。
言葉が分かっているかのように反応してるのは気のせいだろう。
……なぜか、猫が私を見て驚いているように見える。
◇ ◇ ◇ ◇
・トミタ(猫)視点
俺は何となく赤ん坊のヨツバを、普通に鑑定する。
――――――――――――――――――――――――
鑑定結果
名前:ヨツバ
Lv:1(0歳)
種族:人間
スキル:【鑑定Lv10】【四次元空間Lv3】【フリーズLv30】
【経験値10倍】【習得Lv20】
ステータス:
HP 8/8 MP3/3
ATK1 DEF2 MAT1 MDF2 SPD1 INT35 LUK10
称号:【冷帝】
異世界に転生した人間。前世は椿宝女学園の学生。
美人で秀才だったが、人を寄せ付けない態度から冷帝とあだ名が付けられた。
実は小説家にニャろうの読専。
現在、ナンシーの二女。
――――――――――――――――――――――――
ファッ?!
待て待て、この赤ん坊、前世の情報があるぞ?!
おまけにスキルのレベルがおかしい、というか数も変だ。
小説家にニャろうの読専、ってどういう意味だ?
落ち着くために、ネルを鑑定する。
――――――――――――――――――――――――
鑑定結果
名前:ネル
Lv:6(7歳)
種族:人間
スキル:【ヘイストLv4】【ライトLv1】【加速錬成Lv1】【料理Lv3】【※魔法耐性Lv50】
ステータス:
HP 12+15/12+15 MP9+15/9+15
ATK6+15 DEF6+15 MAT5+15 MDF6+15 SPD7+15 INT11+15 LUK10+15
称号:【錬金術師見習い】
ナンシーの長女。とある猫をとても気に入っている。
――――――――――――――――――――――――
※の魔法耐性はブレストリングの効果だろう。
ブレストリングの効果か、+15が目立つ。
加速錬成をいつの間にか習得している。マック君の仕業か。
と、それよりも、前世の情報とか記載されてないよな。
スキルのレベルも、魔法耐性以外は普通に低いし。
「すみませーん、宿に泊まりたいのですがー」
「はーい! ネル、ヨツバを寝かせておくから、面倒見てね」
「はーい!」
客の対応のため、ナンシーさんが管理人室を出て行った。
そのタイミングで、俺は文字を“日本語で”板に書き、それをヨツバに見せる。
『お前、ひょっとして日本人の生まれ変わり?』
「あー! あー!」
うーん、よく考えたら、赤ん坊と意思疎通なんてとれるのか?
そもそも、産まれたてのヨツバは目がほとんど見えないはずだ。
『yesなら高速で5回まばたきを』と日本語で書いて見せてみる。
パチパチパチパチパチ。
赤ん坊はまばたきをする。
うん、こいつは日本人の生まれ変わりで決定だな。
というか視力がおかしい。異常だ。
なぜ見える? 産まれたての視力って0.1もなかったよな?
ま、赤色が見える猫がここに居るくらいだし、生まれつき視力の良い赤ん坊が居ても不思議じゃないけどな。
何でもアリなのかもしれない、ファンタジー世界ってやつは。
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