152.皮むき
前略。エルフ男に決闘を挑まれた。
「エルフ流の決闘ルールを説明するぞ。
決闘の内容を板に書いたものを3種類ずつ互いに用意し、裏返してシャッフルして審判が引く。
書かれた内容の決闘を行い、先に3勝した者が勝者だ。
ただし、内容は、命の危険を伴う物は駄目だ。
何か質問は?」
『決闘なんてやだぞ』と書く。
「負けるのが怖いのか?
この腰抜けめッ!」
何と言われようが、俺は面倒事はご免だ。
決闘なんてやりたくないぞ。
しかし、
「バステト様、頑張ってくだされー!」
「にゃんこさん、ファイトです~!」
何故か応援される俺。
いつの間にかアウレネとシルフ婆さん、他のエルフ達が野次馬に混ざっている。
「オリバー! そんなデブ猫やっつけてやれ!」
「やっちまえ! オリバー!」
どうやら、俺とエルフ男のオリバー君の決闘を、皆が心待ちにしているらしい。
仕方ないな、不本意だが、期待されてるのなら応えてやるか。
『受けて立つぞ』と書く。
「そうこなくてはなッ!」
俺とオリバーは、3枚の木の板を渡される。
それに勝負内容を書きこむのだ。
「にゃんこさん、決闘ですから、一応は公平な試合になるような勝負でないと駄目です~。
タイプライター速度勝負なんて、にゃんこさんに勝てるはずないじゃないですか~」
ええ。面倒な制約だなぁ。
というわけで、アウレネに勝負内容を丸投げした。
◇ ◇ ◇ ◇
「これより、バステト様とオリバーの、互いの誇りを賭けた勝負を開始するのじゃ!」
シルフ婆さんが宣言すると、俺の支持派のエルフと、俺に反対派のエルフが歓声を上げた。
「審判は私です~。では早速、第1勝負は、コロコロ芋の皮むき勝負!
先に10個剥き終わった方が勝ちです~」
これはオリバー君考案の勝負だな。
俺とオリバー君の前に、コロコロ芋10個が並べられた。
「よーい」
オリバー君はナイフを構える。
俺は変性錬成でリンゴの皮むき機の芋バージョンを2個作る。
「始め! って、にゃんこさん何ですかソレ!」
芋をセットして、ハンドルを回す。
皮が勝手にむける。
それを繰り返す。
「ああッ?! 何なのだそれはッ!
ズルいのだッ!」
両手作業で行い、オリバー君が2個むき終わる頃には俺の仕事が終わった。
「勝者にゃんこさん!」
余裕、余裕。
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