154.昨日の敵は今日の友


「第4回戦は……その前にお昼ご飯にしましょ~」


「決闘を続けろー!」


「「「続けろー!」」」


「ええっと、それじゃ、第4回戦……野草摘み対決です~!

あ、オリバーは【植物取り寄せ】と【森の民】称号、にゃんこさんは【探索】スキルと【森の主】称号の使用禁止ですよ~」



指定された野草7種類を、いかに早く採るかの勝負か。



「よ~い、はじめ~!」



【探索】スキルなどなくても俺は鼻が利く。

さっそく、俺は発見した近くの魔毒草を摘もうとするが、



「させないのだッ! 『草木よ枯れろ! ウィザー!』」



何と、俺の目の前の魔毒草が枯れてしまった。


へー、妨害か。そんなことするんだ。へー。


……許さん。



「にゃー(『森羅万象、全て神へ通ず。変性錬成』)」



オリバー君の周りの地面を浅い沼に変化してやった。



「うッ?! 体が沈むのだッ?!

くそッ!」



オリバー君は近くの木につかまり、なんとか体勢を整えたようだ。


その間に俺は魔毒草を始めとする3種類の野草の収集に成功。

残り4種類。



「待つのだッ!」



オリバー君が遅れて野草収集を始める。

俺達は邪魔し合い、お互い6種類の野草を集め、あと1種類、クリスタルポピーだけとなった。



「見つけたのだッ!」



クリスタルポピーは、あまり群生しない野草だ。

1輪の青い花が咲いていた。



「俺が取るのだッ! うぉぉおおッ!」


「にゃー!(俺だー!)」


「『かの者に遅延の呪いを! スロ』」


「にゃー(そいっ!)」



呪文を唱えられる前に飛び付き、回収!



「勝者にゃんこさんです~!」



遅れてやって来たエルフ達は、ある者は結果を聞いて喜び、別の者は結果を聞いてがっくりとした。



「くッ! 俺の負けなのだッ!」


「にゃー(いい勝負だった)」



俺は手を差しだす。

オリバー君も手を伸ばす。


俺達は握手する。

昨日の敵は今日の友ってか。



「さ、皆さ~ん! 昼食の準備を始めますよ~!」



昼食はコロコロ芋の天ぷらだった。


エルフ達は互いに納得したのか、喧嘩せずに昼食の準備に取り掛かった。


そして『バステト様が再びエルフ族をまとめたのを記念して、カンパーイ!』などと、昼間から酒を飲み始めるのだった。

羨ましい。俺も酒が飲みたいぞ。

猫だから飲みたくても飲めないが。

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