177.五目並べ
マック君の結婚式翌日、俺は王城に居た。
王様から褒美の品を貰うためだ。
上質な木箱、税金免除の旨を書いた書類、販売権のことを書いた書類、土地の所有権の書類、そして500億Gを貰った。
8000億Gという大金はすぐには用意出来ないらしく、結局分割で貰うことにしたのだ。
貰う物を貰ったので、俺は城を出た。
◇ ◇ ◇ ◇
雑貨屋クローバーにて。
リオン君に1億G渡した。
「旦那、いいのか?」
『まあ持っておけ』と書く。
「旦那、こんな大金をそのまま持っているのは不安だ。
店のとは別の、俺専用の金庫を作ってくれよ」
ふむ、お安い御用だ。
ステンレスの塊を分離錬成で作成し、変性錬成で金庫を作り、生活スペースの端っこに置いた。
「これは見たことのない金属だな?」
『ステンレス合金って言うんだ』と書く。
「合金って、青銅みたいな奴か」
『ああ』と書く。
合金のことを詳しく聞かれたので、タイプライターを取り出し、覚えている限りの合金について書いてみた。
書いた紙を渡すと、リオン君はたいそう喜んでくれた。
どうやら、お金より知識の方が喜ばれるみたいだな。
お金も大事なんだけどなぁ。
◇ ◇ ◇ ◇
続いて宿屋へ向かう。
ドアをノックした。
「はーい。あら、猫さんね」
「にゃー(お邪魔します)」
ナンシーさんにペコリと礼をして中へ入る。
「猫さんだー! いらっしゃい!」
受付席から、ネルが迎えてくれた。
ヨツバは昼寝中らしい。
「それじゃ、ネル。宿の番は私がするから、猫さんと遊んでいなさいな」
「やったー! 猫さん、こっちだよー!」
ネルと一緒に管理人室へ行く。
やはりマック君が居ないのは寂しいな。
「今日は何して遊ぶー?」
「にゃー(よし、五目並べにしよう)」
碁盤と碁石を取り出す。
ネルは割と強いから、結構本気で挑まないと負ける。
大人げない?
勝負に大人も子どもも無い。
そうだ、ネルにも王様から貰った褒美を分けよう。
『褒美を王様からもらったんだ。お金をたくさんもらったけど、いくら欲しい?』と書く。
「お金? 要らないよー?」
まあネルはまだ9歳。
渡すのは大きくなってお金の価値を知った時でもいいか。
俺達は五目並べで遊んだ。
ちなみに戦績は3勝8敗だった。
ネル強すぎだろ。
そのあとヨツバが起きたのでお金を渡そうとしたら、逆に3000万G渡された。
今まで借りた分などを返す、と言いつつ。
子どもから金を貪るほど落ちぶれていないぞ、と返金した。
逆にヨツバは「理由のない施しは気味が悪いです」と俺からの金の贈与を拒否。
結局、ナンシーさんが困ったら使ってくれ、とヨツバに1億G渡すことにした。
店の必要経費については、今後は折半するということにした。
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