428.【後日談3】八つ当たり


ある日の朝。

森の自宅の庭でゴザを敷いてのんびりしていると、ようやく4属性神獣が帰ってきた。


それはいいのだが。



「にゃー(どうだった?)」


『『『『サー!!! 自分達はゴミ以下であると思い知りました、サー!!!』』』』


「にゃー(成長出来た?)」


『『『『サー!!! 我々は冷酷な仕事機械になりました、サー!!!』』』』


「にゃー(うるせぇ。音量がデカイ。そんな声上げなくても聞こえるっての。

というか何だその喋り方は)」


『『『『サー!!! 申し訳ありません、サー!!!』』』』


「にゃー(駄目だこりゃ)」



4属性神獣をみねうちで気絶させ、魂を触ってこねこね。

口調だけ元に戻した。



『『『『……ハッ?! おはようございます肉球魔王様!!』』』』


「にゃー(うむ、それじゃ仕事を割り当てるぞ)」



俺の護衛に1体、魔獣都市マタタビの警備に1体。

あとの2体はお休み。

それを1日ごとに交代で行ってもらう。


何か大きな事をする場合や不安要素がある場合は、あらかじめ俺に連絡するように伝える。

あと、こいつらに部下として簡易的なゴーレムをそれぞれ10体ずつ付けた。

上司の仕事をすれば、彼らの上司である俺の気持ちも少しは分かるかもしれないからな。



◇ ◇ ◇ ◇



宿屋の管理人室の床にて、俺はネルにモフられている。

ああ、そこそこ。気持ちいい。

って俺は肩こりが酷いおっさんか。

いや似たようなものか。


隣ではサバさんがヨツバに遊んでもらっている。

最近雑貨屋クローバーで人気のレーザーポインター魔道具だ。

光を追いかけてバタバタしている。


やがて疲れたのか、サバさんはベッドに飛び乗り、布団に潜って寝てしまった。



「さ、次は猫さんが運動する番です」


「にゃー(いやだ)」


「そのメタボ体型をどうにかしないと、モテませんよ」


「にゃー(余計なお世話だ)」



だがいくら抵抗してもヨツバが諦めなかったので、仕方なく15分ほど付き合った。

いい汗かいたぜ。いや汗かかない体だが。

ただし汗は肉球から出る。あと鼻のあたりから。


さーて、おやつを食べるとしよう。

俺は猫用ニボシを取り出す。

お皿に盛る。



「って、何で山盛りで食べようとしてるんですか!

一口だけです! 一口!」



ヨツバにニボシの皿を没収された。

俺のなのに。


そして3匹ほど渡されたが、速攻で食べた。



「にゃー(おかわりを所望する!)」


「駄目です」


「ニボシおいしー」



ネルがヨツバの横からひょいひょい取って食べる。

人間にとっては味が薄いと思うのだが。


おやつが食べられないのなら仕方ない、昼寝するか。


俺は布団の上でびろーんと転がる。

おやすみなさい。



「食べた後すぐ寝たら太りますよ」



ヨツバが今日、俺にこれだけダイエットをうるさく言ってるのは理由がある。

自分の体重が増えてしまってダイエットを始め、それにより溜まったストレスによる八つ当たりである。

決して俺の健康を思っての事ではない。

多分明後日くらいには俺に構うのに飽きるだろう。


……ZZZ

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