496.【後日談4】床下暖房
夜。学校区画にて。
今日は雪なので、魔獣幹部の会合は学校区画のマタタビ会館大ホールにて行う。
「んなー(肌寒い季節になりましたな)」
「アァー……ガク……ブル……」
「温水式床暖房を起動させようかねぇ」
「うんみゅう(準備バッチリ。いつでも起動可能)」
魔獣都市マタタビ全体に巡らされた温水式床下冷暖房。
地下に設置されたパイプに温かい水、あるいは冷たい水を流すことで地面の温度を調整する事が出来るのだ。
「にゃー(起動は、錬金術工房の都市管理室にある該当レバーを倒せばいいぞ)」
「うみゅみゅ(朝と夜の冷え込む時間に起動する。24時間起動するのはさすがにお金がかかる)」
「ガゥ!(さっそく起動しようぜ!)」
「うみゅう(行ってくる)」
金の亡者は錬金術工房へ四次元ワープした。
そしてしばらくして、都市全体にサーッと温水が地下のパイプを流れる音が響き渡る。
試運転に問題は無さそうだな。
◇ ◇ ◇ ◇
都市を歩いてみる。
肌寒い空気は、温水式床下暖房によってかなり和らいでいる。
「みー(地面からお水がいっぱい流れる音が聞こえるよー、何で?)」
「んまぁ(さぁ、何ででしょうねぇ?)」
ネコ科魔獣の親子は、地下を流れる温水の音を不思議がっている。
一応都市の皆には説明しているのだけどな。
見たことがない物だから、理解が追いついていないだけか。
「にぁう(寒い日はモフモフボディに頭を突っ込んで、ぬくぬくやー)」
「なー(やめろ暑苦しい! 俺にくっつくんじゃねぇ!)」
普段体を寄せ合って寒さをしのいでいるネコ科魔獣達だが、床下暖房の影響で猫団子が減っている。
ま、雪が降っている影響で地面が濡れてるから、外に出てるネコ科魔獣自体が少ないんだけどな。
俺は散歩を終えて、宿屋に来た。
「にゃー(ごめんくださーい)」
ガチャリ。
玄関のドアが開く。
「駄目だよ猫さん! こんな天気に外に出たら風邪ひいちゃうよー!」
ネルが迎え入れてくれたと思ったら、抱っこされてシャワールームに連れて行かれた。
ちょっと体に雪がついてるくらいで大げさだな。
温水シャワーの出る魔道具で体を洗われ、バスタオルで全身を拭かれた。
「これで大丈夫!」
「にゃー(ネルもシャワー浴びておけよ)」
服を着たまま俺を洗ってた影響で、ネルも濡れてしまっていた。
「私はいいから、猫さんは今日は外に出ちゃ駄目!」
「にゃー(分かった、分かったから)」
そしてネルがシャワーを浴びている間、俺はシャワールームの外の脱衣所で待機する。
お? ネルの入ってるシャワールームの隣のドアが空いたぞ。
「何で猫さんがここに居るんですか。今、女性が入る時間ですよ。
覗きですか?」
体にタオルを巻いて湯気が出てるヨツバが、俺にピッピッと水滴を飛ばしてきた。
何するんだやめろ。
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