202.花嫁(になった後)修業


ヨツバが椅子の上に登り、握りこぶしを作った片手を挙げた。



「ニコが姑のいじめに遭うのは、家事が出来ないからです。

今から特訓しましょう」


「にゃー(姑じゃないぞ)」


「ヨツバちゃんって、本当に2歳なのかい?

ボクが知ってる2歳は言葉がおぼつかない感じなのだけど」


「男は細かい事を気にしてはいけません。

さあ、まずは掃除から開始しましょう」


「ボク女の子なんだけど……」


「じゃあ私が水んでくるねー」



ネルは壺を持ち、水を汲みに出ようとしたがヨツバが待ったをかけた。



「ニコ、あなたが行くのです。

準備の段階から家事は始まっています」


「いくらボクだって水くらい汲めるよ……」



マック君はネルから壺を受け取り、水汲みに近くの井戸へ行った。


こうして、マック君の花嫁修業が始まった。

ん? 結婚後は花嫁修業とは言わないのだろうか?

まあいいか。



◇ ◇ ◇ ◇



「ストップ!

石の床の掃除に石鹸は使わない!

水だけで十分です!」


「ヨツバちゃん厳しいね……」


「ニコ頑張れー」



掃除は高い所から開始し、壁、テーブルや机、そして現在床掃除中だ。



「この宿は3日に1度ナンシーさんが掃除しているので比較的マシですが、パーシーの家はもっと汚れているはずですよ!」


「確かにそうだったね」


「家をピカピカにして見返してやるのです!」


「よーし、床はこんなものかな」



掃除が終わった頃、丁度ナンシーさんが買い物から帰ってきた。



「ただいまー……って、ニコさん何をしているのですか?!」


「ヨツバちゃんの監修の元、掃除を」


「ヨツバ! お客様に何をさせているの!」



ヨツバはナンシーさんに叱られた。

マック君が自分から頼んだことだから怒らないで、となだめた。

叱られたヨツバ当人はケロっとしているが。



「次は料理の特訓をするつもりだったのですが、ナンシーさんが居ると難しいですね」



そうだな。

どこか練習出来る場所は無いだろうか。


……そうだ、雑貨屋クローバーの奥の生活スペースに調理場が有ったな。

そこを使うのはどうだろうか。


管理人室でネルとヨツバ、マック君に提案し了承を得る。


マック君は夕食は要らないとナンシーさんに伝え、俺と一緒に雑貨屋へ向かうことにした。

ネルとヨツバは留守番だ。



「頼みましたよ猫さん」



任せておけ。

たっぷり訓練してやるぜ。


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