371.【後日談2】【クロスオーバー(メニダン)】肉球魔王様さん


注文が届いたので、俺はコンビニへ行き、電子マネーにて支払いを済ませる。

この世界では現金は骨董品扱いされ、支払いはもっぱら電子マネーが主だ。


近未来のコンビニは、商品を宇宙の倉庫から地上へ送るようなシステムになっている。

確かに重力の影響が少なくて、そっちの方が在庫管理は楽だな。


で、俺が注文した商品が、宇宙の倉庫からエアシューターで運ばれた。


ガコン! と音が鳴り、シャッターみたいなのが開く。

荷物はダンボールに入っていた。


荷物を受け取り、四次元空間に収納。

四次元ワープでマンションの自室まで移動。


未開封パッケージ版『メニィ・ダンジョンズ・オンライン』が8万円。

新品のVRヘッドセットが11万9800円。

ちなみにヨツバのVRヘッドセットは中古だ。


さっそく、俺はヘッドセットを付ける。

そして、ソフトカードを挿入だ。


俺の体のスキャンが開始された。


ふーむ、このヘッドセット、高次知能生物が技術提供者として開発に参加しているそうな。

……見る人が見れば、これは鑑定神ソフが作った、鑑定システムを搭載していると分かる。

あの爺さん、何がしたいんだ。


俺の能力を全部スキャンさせるわけにはいかないので、適当にスキャンを歪める。

ついでに、あのソフの元へデータが転送されないように、ホムンクルスに見張らせる。


本来は、脳に埋め込まれた電子チップへと働きかけるようなゲーム装置だ。

俺もヨツバも、脳に電子チップを組み込んでいないので、本来ならこの装置は使えない。


しかし、ヨツバがやってるように、擬似的に電子チップを脳に埋め込んだのと同じような状態にすれば良い。

電気シグナルを魔力へ、魔力を電気シグナルへと相互変換するのだ。


そういった装置が内部に組み込まれた物が、命君のダンジョンで使用されていたVRヘッドセットだ。


おっと、ゲームが始まるな。


意識の4割くらいは現実世界に置いておくとして、残り6割でゲームをすることにしよう。



◇ ◇ ◇ ◇



黒い空に星が輝いて見える世界だ。

宇宙空間に浮かんでいるのか。


といっても、息が出来る空間だ。

宇宙に放り出されたとかでなく、単なる演出か。



『あなたのプレイヤー名を登録してください』



ゲームのアナウンスが語りかけてきた。

キーボードみたいなのが現れる。


カタカタカタっと。



『肉球魔王様でよろしいですか?』



はい、いいえの選択肢が現れた。

はい、を選択する。



『肉球魔王様さんの容姿を決定してください』



様さんって、おい。

そうか、名前に様を付けたらそういう不自然な呼ばれ方をされるのか。


とりあえず、容姿は1万種類以上ある中から、好きなのを選んで、細かいパーツを微調整する感じらしい。


茶トラ猫を選んで、微調整で、見た目を99%自分と一致させる。

慣れた姿の方がいいからな。



『発声時、自動翻訳を表示しますか?

ゲーム中に設定はいつでも変更出来ます』



はい、を選択する。



『肉球魔王様さんのダンジョンをランダムで作成中です……』



このゲームは、ダンジョンのマスターとなり、ダンジョンの敵である人族や、ダンジョン同士でドンパチするゲームだ。


最初に1つ、ランダムでダンジョン、そして魔獣を入手する事が出来る。



『肉球魔王様さんのダンジョンが自動作成されました。

ダンジョン最奥地まで転送します』



さて、どんなダンジョンになるかな?

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