372.【後日談2】【クロスオーバー(メニダン)】マグマ・ニュート



照りつける太陽。

一面に広がる砂の大地。


俺の貰ったダンジョンは、砂漠という設定らしい。

風化した建物の残骸が、そこかしこに点在する。


ただ可笑しいのは、マグマの川が当たり前のように流れている点だろうか。


――――――――――――――――――――――――

ダンジョン名:未設定

ダンジョン傾向:灼熱の砂漠

ダンジョン階層数:5

ダンジョン内魔獣:1

ダンジョン階層ボス:0

所持:0DP

――――――――――――――――――――――――


システムメッセージが表示された。

DPってのは、ゲーム内マネーのことだ。


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毎日ログインボーナス:+20,000DP

所持:0DP→20,000DP

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本来の毎日ログインボーナスは500DPほどらしいが、βテストでは課金が出来ないため、多めに設定されているらしい。

ちなみに交換レートは1円で10DPだ。


ダンジョンの種類は大まかに、建物や洞窟内のような閉鎖型、そして森や山などの開放型、といった2種類が存在する。

俺が今居る砂漠は開放型に分類される。


開放型ダンジョンの特徴は、上の階層と下の階層を繋ぐワープゾーンが存在するという点だ。

剣が地面に刺さっている台座のようなオブジェがあるが、あれがこのダンジョンのワープゾーンだ。

ちなみに閉鎖型ダンジョンの場合は階段やエレベーター等で階層の行き来をする。


で、マグマの川で泳いでいるアイツが、俺のダンジョンの魔獣か。



「にゃー(こっちにおいで)」



ザバァ! とマグマの川から、岩のようなゴツゴツの肌のソイツが飛び出す。

そして四足で、素早くこちらへと走ってきた。



「キシャァァアアアアアアアアーーーー!」



マグマ・ニュートと呼ばれている、全長8mくらいの魔獣だ。


このゲーム、ダンジョンの魔獣は基本的にダンジョンの外へは出られない。

20,000DPを払えば出られるようになるのだが、せっかくだからやってみようか。


「にゃー(彼をお助けキャラに指定だ)」


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以下の魔獣がお助けキャラになりました。(20,000DP):-20,000DP

所持:20,000DP→0DP

「マグマ・ニュート」

――――――――――――――――――――――――


「キシャァァアアアオオオオーーー!」



何て言っているのか知らんが、まあいいか。


というか、当たり前だがゲームの中だと俺のスキルや称号効果が一切使えないんだよな。

スキルが使えるのなら、ゴーレムを大量生産して配置するのだが。


その気になればシステムに干渉して使えるように出来なくは無いが、そんな意味の無いことはしない。

あくまでゲームの仕様にのっとって遊ぶことにしよう。


身体能力はほとんどそのままだし、何とかなるだろ。



「にゃー(一緒に外に出よう。乗せてってくれ)」


「キシャァァァアアアアルラルアーーーー!」



マグマ・ニュートに乗り、俺達はワープゾーンの台座へ向かう。


台座には「階層ワープ用台座。※剣は抜けません」と書かれていた。


ダンジョンの主は、ワープゾーンから直接外へ出る事が出来る。

俺達はダンジョンの外へと出た。


外は夜だった。

小さな林の中に、俺達は居た。


俺達の傍に有るダンジョンの入り口は、階層ワープ用台座を一回り大きくした物だった。

ここから俺のダンジョンの1階層へと飛べるのだ。



「にゃー(ダンジョンに名前付けておくか。『肉球魔王様城』でいいか)」


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ダンジョン名:肉球魔王様城

ダンジョン傾向:灼熱の砂漠

ダンジョン階層数:5

ダンジョン内魔獣:1

ダンジョン階層ボス:0

所持:0DP

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マグマ・ニュートが、彼の背中に乗っている俺の方を向き、物欲しげな眼差しを向ける。

どうやら彼も自分の名前が欲しいらしい。



「にゃー(『ニール』ってのは?)」


「キシャァァアアアーーー!」



別に名前を付けたからといって、ゲームシステム上では何も起こらないのだが。

彼は嬉しそうにしていた。


さて、周りの探索をするとしようか。


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