474.【後日談4】魔王が集まる その5


「にゃー(ふんっ!)」


ベキッ!


水道管に隠れているスライム魔王を触るために、猫パンチで水道管を壁ごと壊し、スライム魔王をタッチ。

そして壊した所を錬金術で元通りに戻す。

残り8名。時間はあと1分10秒。


屋敷は1階しか無いが、屋根裏にスペースがあり、そこに2名ほど潜んでお茶会をしていたので、四次元ワープで移動しタッチ。

残り6名。時間はあと1分8秒。


向こうの俺も誰かタッチしたようだ。

残り5名。時間はあと1分7秒。


俺は部屋に入る。

するとすぐに魔法の攻撃が飛んできた。



「オレのそばに近寄るなああーーーーーッ!!」


「にゃー(うるさいぞ)」



【絶対回避】スキルをコピーし使用。

俺が避けなくても攻撃の方が避けてゆく。


紫ロングの毛をした魔王をタッチ。

向こうの俺は3名ほど片付けたらしい。

残り1名。時間はあと58秒。


ピロリン。

NYAINニャインアプリでメッセージが来た。



『あとシルフ婆さんだけだな。もう合体しておくか?

場所はこっちの部屋だ。内部はダンジョン化しているっぽい』


『ああ、すぐ行く』と打つ。



シルフ婆さんの居ると思われる部屋へ、にゃんこダッシュ!


部屋の前に待機していたもとキングAと合体し、フルパワーとなる。


部屋に入ると、内部の時空が歪められている。

というか今更ながら、隠れんぼじゃないだろコレ。

ただの能力バトルと化しているぞ。


中は石壁に囲まれた通路となっている。

シルフ婆さんは、通路のどこかに居るのだろう。


で、通路上には邪魔する魔獣達がワチャワチャ居る。

魔王やエセ魔王は、魔石に魔力を通すと、魔獣を召喚する事が出来る。

その性質を使って呼んだのだろう。


元王Aはコンピュータ内の世界に居た経験上、俺よりも演算能力に長けている。

彼の力を使って、シルフ婆さんが居そうな場所を計算する。


ふむ、あの辺かな。


俺は通路を無視し、にゃんこタックルで壁を壊しながら突き進む。


壊れた壁はゴーレムとなって後ろから追いかけてくるが、無視だ。

あれはスケルトンみたいに、何回壊れても直るタイプだ。


壁を何枚も壊し、とうとうシルフ婆さんが隠れているダンボール箱を見つけた。

すぐ傍に魔王が3名転がっている。


シルフ婆さんがダンボール箱から出てきた。



「ふぇっふぇっふぇ! さすがバステト様じゃ!

よくここまでたどり着いたのぅ」


「にゃー(出来れば、降参して欲しいんだが)」


「確かにワシはバステト様に敵わないじゃろう。

じゃが、時間稼ぎくらいは出来る」



シルフ婆さんは、ゴーレムを何体も召喚する。


俺はシルフ婆さんに対しては、悪意監視網などは使っていない。

守る対象だからな。


なので、今回みたく純粋に敵に回ってしまった場合、後手に回ることになってしまう。


あのゴーレム達、ダメージを与えたらネル達にダメージが流れるようになってるようだ。

俺が寝ている隙に作ったのだろう。

普段だったらホムンクルス達が絶対許さないだろうけど、今日は連れてきてないからな。


俺が間違ってあのゴーレムの1つでも壊してしまうと、ネル達の誰かが文字通り壊れる。



「安心せぇ、ゴーレムは時間が来たら効果を失うわい」



ゴーレム達がシルフ婆さんの居る場所を囲む。

残り43秒。


人質をとって俺を脅しているつもりなのだろうが、詰めが甘いぞ。

こっそりスキルコピーだ。



「にゃー(『俺はあらゆる魔法を破壊する。ブレイク・ザ・スペル!』)」



一瞬でゴーレム達は人質効果と自律性を失う。



「さすがバステト様じゃ!」



突進し猫パンチを繰り出すが、シルフ婆さんの体が電気になり、猫パンチが外れる。

残り40秒。


体をひねって蹴り攻撃。

今度はシルフ婆さんは透明化した。

残り39秒。


俺は地面に着地。

透明化の存在に触れられるようになる『馬鹿には見えない服』を装備し、タックルだ。



「ほっ!」



キィィイイン!

宙に剣が現れ、俺のタックルを防いだ。

シルフ婆さんが電気で操っているのか。


なぜさっきから全力でタックルしてないのかというと、それをやったらシルフ婆さんもろとも、屋敷ごとぶっ壊れるからだ。

俺が全力タックル出来ない事もシルフ婆さんは計算に入れている。

この状況をどうにかする方法は無いものか。

残り35秒。


演算では、制限時間までこのまま攻撃が防がれる確率は100%。

残り時間があと2分なら何とかなったのだが、もう遅い。

俺の力ではどうしようもない。


というわけで、確率から外れた存在から力を借りようと思う。



まこと君へ。これこれこういう状況なのですが、どうしたらいいと思いますか。

20秒以内に返信お願いします』と首輪型PCでメールを打ち、送信。残り32秒。


お、返信早いな。さすが若者。



『トミタ、お前がその婆さんを大事にしているのは分かるが、フルパワーで戦わせちゃ駄目だろ。

デバフをしっかりかけて弱体化させたほうがいいぞ』



その発想は無かった。

俺って自分で思ってたより脳筋だな。

残り20秒。


鈍足、筋力低下、めまい、幻聴、その他適当にデバフをかけてシルフ婆さんにタッチすると、あっさりと成功した。

今までの苦労は一体。残り18秒。


こうして、隠れんぼは鬼チームの勝利となった。

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