432.【後日談3】ヨツバは学校が作りたい その4
・ヨツバ視点
設計図の詳細を決める前に、学校の建物の材質をどうするかについて猫さん、チャールズ君と議論した。
私はコンクリートもどきを使った、アダマンタイト筋コンクリートもどき建築を
とにかく頑丈で、地震など災害に強いので、何かあった時に避難所にもなる。
チャールズ君は、神聖樹木材を用いた建築を推した。
大魔導師の森に生えているこの木は丈夫でしなやか、さらに形状記憶回復という特殊な能力を持っている。
一度この木で建設してしまえば、火災などで一気に消失しない限りはメンテナンス不要という優れた建材だ。
猫さんは都市と同じく普通の石造りの建築を推した。
現地の住人が理解出来て、現地の住人が直せる構造でないと、自分達が居なくなった後、長続きしない、と。
丈夫さやメンテナンスの手間等を考えるとあまり良い選択とは思えない。
チャールズ君としては私の案でもいいけれど、猫さんの案は正直手抜きもいいところなので遠慮したい、とのこと。
わざわざ壊れやすい建物を作るのは嫌だ、と。
結果、材料の手に入りやすさ、チャールズ君と私の希望で、アダマンタイト筋コンクリートもどき建築で建てることになった。
普通なら固まるまで時間がかかるけれど、ホムンクルス達が【加速錬成】でパパッと固めてしまう。
コンクリートもどきそのままの現代風な見た目じゃ都市の雰囲気に合わないから、石レンガ風タイルなど貼り付けることにした。
そして今、私は出来上がった学校の屋上から学校区画を眺める。
いい! すごくいい!
魔獣都市マタタビの住人の義務教育が本格的に始まるのは来月からで、それまでは体験授業期間となっている。
明日から私のホムンクルス達が試しに授業をしてくれるので、それに参加する事が出来る。
体験授業期間に問題を洗い出し、フィードバックを行い、来月から本格的に学校が始まる!
だが戦いは体験授業期間から始まっている!
この期間内で私のアピールをしなければ、いざ本格的に始まった時、最悪ボッチになってしまう!
それは何としても避けたい!
私は期待に胸を膨らませ、明日を待つことにした。
◇ ◇ ◇ ◇
・ヨツバ視点
翌日。
今日はいよいよ学校の体験授業だ。
学校では8~12歳の子どもに対して義務教育が行われる予定だ。
15歳以上も任意で義務教育の場に参加する事が出来る。
また、猫さんの意見により、年齢制限の無い選択式の授業もある。
選択式の授業は基本的に難易度が高かったり、独特の内容だったりするらしい。
そして、私が狙うのは義務教育の場に参加する15歳以上の者。
人より少し勉強出来る私が、参加者のイケメンに手取り足取り教え、やがてそれは恋愛に発展する……
いい! 凄くいい!
教室の前に来る。
10歳相当、と張り紙に書かれている。
内容は掛け算、参加には足し算の知識が必要、か。
よーし、待ってろよイケメン!
ガチャリ。
教室のドアを開ける。
「ねーねー、ママ、まだ始まらないのー?」
「あと10分ね、もう少し待ちましょう」
親子で参加している人も居るらしい。
「こんな老いぼれでも参加できるとは、ありがたいのぅ」
「爺さんや、昼飯はまだかのぉ」
「婆さんや、昼飯はまだじゃのぅ。給食とやらが楽しみじゃのぅ」
爺さん婆さんも参加しているらしい。
って、イケメンは?!
イケメンはどこ?!
この教室には居ないみたい。
なら別の教室に行くべし!
私は義務教育の教室を10箇所ほど見回ったが、イケメンは居なかった。
授業が終わった後、他の教室を一通り見回したが、フリーのイケメンは居なかった。
(【鑑定】で彼女持ちかどうか分かる)
私は目の前が真っ暗になり、気づいたら宿の管理人室で寝ていた。
せっかく頑張って学校作ったのに、こんなのってないよ……わーん!
◇ ◇ ◇ ◇
・トミタ(猫)視点
今日は体験授業の日。
俺はネコ科魔獣向けの講義を1つ行う事にした。
ネコ科魔獣は1週間で1時間、それを1年のみ義務教育という事になった。
だが、大事な事はほとんど親が教えている。
正直何を教えなければいけないとか、ないんだけどな。
とりあえず今日は、スポーツ科学に基づいた、筋力トレーニングの講義を行う事にした。
「にゃー(お前ら、強くなりたいかー)」
「んなー(なりたいですぞ!)」
「みゅ~(なりたいにゃ!)」
魔獣幹部やリリーまで参加している。
まぁ別にいいけれど。
俺はネコ科魔獣の筋肉の特徴、そして効率的な鍛え方を伝授した。
後日、ネコ科魔獣内で筋トレが流行って、俺みたいなデブが減ったそうな。
健康なのは良いことだ。
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