413.【後日談3】電子通貨『マタタビ』
雑貨屋クローバーにはご意見箱が設置されている。
『こんな商品が欲しい、これは駄目だと思う、こんな店が良い等、何でもご意見をください』と書かれた木のプレートが箱の横に設置されていて、箱の前に紙と鉛筆も置いてある。
で、字が書ける器用なネコ科魔獣が書いた意見に、こんなものがあった。
『夜中に買い物がしたいです!』
『人間の奴隷が居なくても買い物がしたいです!』
なるほどな。
ネコ科魔獣の活発な時間は主に真夜中。
雑貨屋クローバーは朝から夕方までの営業で、夜は行っていない。
昼間の眠い時間に買い物するより、夜中の方がネコ科魔獣にとってはありがたいだろう。
あとは、人間の奴隷が居なくても買い物がしたいとのことだが、多分人間に気を遣って、とかじゃなくて単に連れ回すのが面倒って理由なのだろうな。
ということを、雑貨屋クローバーのカウンターで眠そうにしてるヨツバに伝えてみた。
「雑貨屋を24時間営業にしろってことですか?
出来なくはないですが、夜勤とか嫌ですよ?
他の人に夜中働いてもらうのも気が引けますし」
『夜中の営業はホムンクルスに任せたらいいんじゃないか?』とエメラルド板に刻む。
「じゃあ私から1体出しましょう。猫さんも1体出してください」
2体も必要ないとは思うが。
まあいいか。
俺は紫ピンクの毛皮の猫型ホムンクルスのニボシ君を四次元空間から取り出す。
「そのホムンクルス、すごく不気味ですね」
ニボシ君はチェシャ猫をベースに作られてるらしいからな。
今は空中に首から上だけを出現させてニヤニヤし、ヨツバをからかっている。
ヨツバのホムンクルスは、小型のトランプ兵の見た目の奴だった。
名前は付けていないらしく、とりあえずスペードの1だったからエース君と呼ぶことにした。
「あとは人間抜きでネコ科魔獣が買い物出来るようにする、と。
どうします? この都市は物々交換が主流で、人間がネコ科魔獣から肉を預かって管理してますけど。ネコ科魔獣が自分で管理とか出来ますかね?」
『無理だな』と刻む。
基本的に
だったら、
『電子マネー式にして、1日の上限額を決めよう』と刻む。
「それってスマホゲーの課金額制限されてる子どもみたいですね……いや、似たようなものですか」
というわけで、魔獣都市マタタビ限定の電子マネーを開発することにした。
ネコ科魔獣には、電子マネー支払い機能とチャージ機能の付いた首輪を付けてもらい(もちろん首吊り防止機能付き。負荷がかかると外れる仕様になっている)、それで買い物してもらう。
電子マネーのチャージは、肉や価値のある物などを雑貨屋に持ってきてもらい、それを買い取る形で行う。
電子マネーの上限金額については、そのネコ科魔獣と要相談。
大型のネコ科魔獣と小型のネコ科魔獣では食べる量等が違うからな。
とりあえず大まかな仕組みはこれでいいか。
俺とヨツバは、ホムンクルスと協力して、電子マネー用のサーバーと、電子マネー対応の首輪を作ることにした。
3日後、満足のいく物が完成したので、魔獣都市マタタビの全てのネコ科魔獣に配布した。
夜間運営開始と電子マネー導入の結果、雑貨屋クローバーの売上は3倍以上になった。
また、電子マネーへの換金目当てで、周辺数十kmの敵対魔獣がほとんど狩られることになる。
環境保護のため、狩りの制限が魔獣幹部達の会議で決定され、狩りによる収入が減る代わりに毎月定額の電子マネー給付が行われることになった。
なお、電子マネーの単位は『マタタビ』である。
この都市だけで使うし、これでいいかと思ったのだが。
数年後、『マタタビ』が世界中で使われることになると知っていれば、もう少し別の名前にしたのだけれども。
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