256.猫カレー
宿屋にて。
俺はリリーと一緒に、ネルが作ってくれた白い皿みたいな形のクッションの上でのんびりしていた。
「……カレーライスが食べたいですね」
ヨツバが俺を見て呟く。
誰がカレーのルーだ。
「猫さんにもお友達が居たんだねー。
一人ぼっちかと思った」
ネルが呟く。
俺にだって友達くらい居るぞ。
ん、ナンシーさんが部屋に入って来た。
「ネル、ちょっと猫さん借りるわよー」
「にゃー(あーれー)」
ナンシーさんが俺をだっこして、部屋から出ていく。
「猫さんが宿に通い詰めて、もう7年くらいね。とっても長生きね」
別に飼い猫なら、10年以上普通に生きるけどな。
というか、この世界の寿命はどうやって決まるんだろう。
ワルサー皇帝やリリーは結構長生きしてるよな。
前者は既にこの世に居ないが。
◇ ◇ ◇ ◇
ナンシーさんが俺を外に連れ出した。
そこに居たのは、お腹を大きくしたマック君の前だった。
「猫さん! よかった、元気そうだね!」
「にゃー(久しぶりだな)」
鑑定すると、妊娠17週0日か。
「ど、どうかな。赤ちゃんはちゃんと産まれるのかな?」
「ニコさんったら、猫さんに聞いてみたいことってそれですか?
そんなの分かるわけないじゃないですか」
確かに、俺は未来予知なんて出来ない。
代わりに赤ちゃんに異常が見られないかチェックしよう。
うむ、問題なし。
俺はばんざいして、あたまの上にわっかを作る。
「そっか!
猫さんがそう言うのなら、信じてみるよ!」
マック君はそう言うと、ニコニコして去って行った。
「……ニコさんって、変わってるわね」
マック君の後ろ姿を眺めながらナンシーさんが呟く。
ナンシーさんのなでなでが気持ち良い。
俺はゴロゴロ音を吹かせる。
「あー、ママずるい! 私も猫さんだっこするー!」
ネルがナンシーさんから俺をひったくる。
もっと優しく扱ってくれよ。
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