255.ダンジョンに行くにゃ その3


ダンジョン内部は、スキルによる移動が制限される。

そして、踏破したダンジョンから帰る時は、最奥層の大渦に飛び込んで帰還するのだとか。

踏破したダンジョンは5年ほど休息期間として地中に眠るそうな。


俺達が来る時に入った大穴は、今では平らな地面になっていた。



「キュオオオオン!(探索期間が短すぎたせいで、ろくな宝物が手に入らなかったのである!)」


「みゅ~(その割には、ニコニコしているにゃ?)」



そりゃそうだ。

何せ、フランベルジュは長年の夢……じゃなくて希望が叶ったのだから。


真っ赤な竜を食べることで、フランベルジュは急速に力を取り戻し、石像が砕けて中から赤い竜が出てきたのだ。



「キュオオオン!(この美しい姿を見れば、フランベル国の皆が讃えること間違いなしである!)」


「みゅ~(そうかにゃ? おいらがフランベル国の人間なら、追い払うけどにゃ)」


「キュオン!(はははは、そんなはずはないのである!)」



俺達はフランベル国に帰った。


フランベルジュがさっそくうきうきしながら町へ行った。

俺はエルフ達とネル達におみやげを配った。


ネルに渡したのは小さな宝石、特に効果なし。

ヨツバに渡したのは、パンのレシピがたくさん載った本。

ネルは喜んだが、ヨツバは微妙な顔をした。



◇ ◇ ◇ ◇



森の自宅前広場にて。

俺とリリーが仲良く装飾付きの宝箱に入ってゴロゴロ言っていると、フランベルジュが帰って来た。



「キュオオオン!(うう……ぐすっ……酷いのである……)」



頭やしっぽに矢を生やしているから、何があったのか見当がつくが、一応聞いてみるか。



「にゃー(どうした?)」


「キュオオン!(フランベル国の兵に攻撃されたのである!

我は復活を祝ってもらえると思っていたのに、あんまりである!)」



俺は宝箱から出て、刺さった矢を抜いてやる。

ふむ、鱗に少し刺さっただけで、体内に矢が刺さったわけではなさそうだ。



「みゅ~(うるさいにゃー、おいらは至福の時間を過ごしているにゃ。邪魔するにゃ)」


「にゃー(後でフランベルジュが復活したって、王様宛てに手紙を書いてやるから、元気だせよ)」


「キュオオン(しくしく……お願いするのである)」



その日の夕方、王城に手紙を持って行ったら、竜が現れた!

と言って王様や防衛大臣や軍の皆が緊急会議していた。

俺にも討伐協力を要請された。


うちのフランベルジュが迷惑かけてすみません。


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