392.【後日談2】【クロスオーバー(メニダン)】肉球魔王様が行く


「おっ、猫さんお帰りなさい。

それと土倉花さん、いらっしゃい」


「おじゃましまーっす」


お昼過ぎ。

マンションに帰ると、ヨツバは(なぜか)テーブルに座って、カップ麺が出来上がるのを待っていた。

マスコミはどうやら玄関で出待ちしているっぽい。

四次元ワープで帰ったので出会わなかったが。



「にゃー(ほい。ヨツバにお土産)」


「ん? 何ですかこれは。

えーと? 『ゴマ汁団子』?」



ヨツバが箱の包装を取り外し、団子を1つ取ってみた。



『全部食べてもいいぞ』と首輪型PCでタイプする。

土倉花が慌てて補足する。


「待ってヨツバさん。それには食べ方があるの。

決して前歯で噛んじゃ駄目よ。一口目は奥歯で噛むの。

でないと……」


ブッチュゥゥウウンー!!

ボタボタボタ!


ヨツバが噛んだ団子から黒い汁が飛び散る。



「わーっ?!」


「なんだこれはぁぁーーーッ! ンまいなぁぁぁッ!!」



ヨツバは狂ったように2個目3個目に手を出す。

その度に黒い汁が飛び散り、土倉花が悲鳴を上げる。


喜んでもらえたようで何よりだ。



◇ ◇ ◇ ◇



土倉花は帰った。


俺は窓際で日向ぼっこしていたら、空がだんだんと暗くなってきた。

まだ夕暮れには早い。

誰かが太陽の光を遮断、というか太陽を食ってる奴が居るらしい。


そして、俺の手元に討伐依頼と書かれた紙が現れる。


ふむふむ。創造主代理案件か。


創造主代理の仕事は、3つ。


その1。新しい世界の創造。

その2。現在有る世界の維持、調整、回復。

その3。回復不能となった不良世界の除去、破壊。


今回はその2に該当する。

太陽を体に取り込んで大きくなっているあの狼もどきを懲(こ)らしめてくれ。

現地の神様が立ち向かったらしいが、返り討ちにあったので注意してほしい。

そんな依頼文が書かれていた。


やれと言われたらやるけど、それくらい現地の神様だけで何とかしろと思わなくもない。

まぁ相手が鑑定神ソフの配下だから、情報量の差で負かされたのだろうけど。


もちろん俺が挑んでも負ける。

300年前の俺が挑んだら、の話だが。

あの頃はソフ達に対して、俺の情報ダダ漏れだったからな。


多分俺への対策もしているのだろうけど、向こうの持っている俺の情報量より、俺の持っている向こうの情報量の方が多い。

向こうさんは今の俺についての正確な情報を持っていないからな。


というわけで、懲らしめてやることにした。



『ちょっと出かけてくる』とPCに打つ。


「行ってらっしゃい」



四次元ワープで宇宙へ行こうとしたが、向こうはどうやら俺を警戒して、日本から出るルートに大量の罠を仕掛けているっぽいな。

このまま行くと罠を起動してしまって面倒だ。

ちょっとだけ遠回りになるが仕方がない。


四次元ワープで、イギリス海峡へ飛び込む。


海底で錬金術を使ってコロコロジェット君2号を作る。

地球産の素材だけだと強度が足りなかったから、俺の毛とオリハルコン金属も混ぜた。

燃料は賢者の石を溶かした液体だ。液体水素じゃ力不足だからな。


俺は某ディスカウントショップで購入したパーティハットとシャケTシャツを身に着け、コロコロジェット君に乗って海上へと飛び出した。



「にゃー(発進!)」



コロコロジェット君2号は俺を乗せ、普通だったらペチャンコになるくらいのスピードで、そのまま宇宙へ向かって飛び立った。



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