241.猫、招く その2



長老猫はどうやらもう一度猫ライフを送っていたらしい。

毛並みはグレーに黒の縞模様が入っているから、確かサバトラだっけか。

可愛い。



「みゃー!(ところで、集会所の者達は元気でしょうか?)」


「にゃー(あいつらなら変わりないぞ)」



むしろ長老の死をこれぽっちも悲しんでいなかった、ドライな奴らだ。

野良猫の感覚にはまだ慣れない。



「みゃっ!(そうですか、ところで猫又様はどうして私を呼び出されたのでしょう?)」


「にゃー(んー、実験?)」


「みゃあ?!(実験?!)」



だってスキルって、使ってみないとよく分からない所があるし。


とりあえず分かったことは、ハーディス様が俺を神スペースに呼んでいた手段がこの【神託】スキルだということ。

次に分かったことは、転生後でも【記憶サルベージ】が使用できること。


あとは、【スキル付与】の実験でもしようか。



「にゃー(まず【鑑定】っと)」


――――――――――――――――――――――――

鑑定結果

名前:未設定

Lv:3(5歳)

種族:猫

スキル:なし

ステータス:

HP 8/8 MP4/4

ATK6 DEF3 MAT2 MDF2 SPD11 INT10 LUK15


ただの猫。

――――――――――――――――――――――――


ふむ?

5歳ってことは、5年生きているってことだよな?

だが長老猫を転生させたのって、確か1年前だったような。


つまり、俺が生きている場所で1年経過すると、長老猫の世界では5年経過しているということか?

時間の流れは住んでいる場所によって異なるということだな。



「みゃー……(実験ですか。痛いのや怖いのは出来れば遠慮願いたいのですが……)」


「にゃー(なあに。すぐ終わる。

【スキル付与】)」



ぽふ、ぽふ、ぽふ、ぽふ、ぽふ、ぽふ、ぽふ。

長老猫に触る。もふもふだぜ。


――――――――――――――――――――――――

鑑定結果

名前:未設定

Lv:3(5歳)

種族:猫

スキル:【鑑定Lv10】【ヒールLv10】【経験値10倍】【習得Lv10】

ステータス:

HP 8/8 MP4/4

ATK6 DEF3 MAT2 MDF2 SPD11 INT10 LUK15


ただの猫。

――――――――――――――――――――――――



うーむ、1度に無理なく【スキル付与】できる個数はやっぱり4つまでか。

勇者リョウマ君の時にも少し試してみたのだが、同じような結果だった。


ちなみにスキルを4つ以上持っている者には【スキル付与】は効きにくい。

リョウマ君にスキルを渡す時、4つ目以降は15回に1回程度しか成功しなかったし、成功時にMPもゴッソリと持っていかれた。



「みゃー!(おお! 何だか強くなった気がしますぞ!)」


「にゃー(強くはなっていないから、気のせい気のせい)」



実験が終わった後、長老猫に顔をうずめて一緒に昼寝した。

あったかい。ふわふわだ。


起きた後は名残惜しいが帰ってもらった。

神スペースは時間経過は止まらないからな。

俺も長老猫も自分の生活がある。



「にゃー(また気が向いたら呼ぶよ)」


「みゃーお!(はい! その日を楽しみにしています、猫又様!)」



グレイトホッパー焼きをお土産に持って帰ってもらった。

【スキル付与】で【四次元空間】も渡せば良かったかな。


ま、いっか。

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