76.ぐーるぐる



マック君と分かれて森に帰る。


ウッドハウスに帰ると石像のフランベルジュが迎えてくれた。



「キュオオオン(不思議猫よ、お帰りである)」


「にゃー(ただいま)」



フランベルジュに挨拶しつつ、俺はアダマンタイトの黒い塊を取り出す。

【分離錬成】で不純物を取り除くことが出来るのだ。


それを【ライトニング】で電流を流して熱して柔らかくして、爪で加工する。

【ライトニング】が電流を操るスキルだというのは、最近気が付いた。

かまどで溶かすには融点が高すぎる金属を加工出来たりと、便利すぎる。

もはや雷(ライトニング)とは呼べない代物だが、細かいことなので気にしない。


刃の付いたプロペラを作る。

真ん中に四角の穴があり、そこに軸となる棒を入れる。

今回はミスリルの塊を棒状に加工してはめ込む。

棒にはハンドルのような取っ手を付け、これをぐるぐるするとプロペラが回るようになっている。


ミスリルの塊をもう一つ取り出し、電流で熱してドラム缶状にする。

ただし、底に先ほどのプロペラ付きの棒をはめ込む所を作っている。


プロペラ付きの棒をセットし、手動手まわしミキサーの完成だ。


よーし、さっそく使ってみるか。


俺はミキサーに木片と水を突っ込み、【加速錬成】で木を数週間水に浸けたのと同じ状態にする。

あとはミキサーで、ぐーるぐる、っと。



「キュオオオオン(さっきから、何しているのである?)」


「にゃー(紙を作ってる)」


「キュオン(???)」



10分ほどミキサーでかき混ぜた。

よし、これくらいでいいか。

あとはこれを薄く広げながら水をきる必要がある。


俺は木を枠状に加工し、そこにミキサーで作った植物線維のペーストを流し込む。

あとは【加速錬成】で数日干したのと同じ状態にして、水を飛ばす。


さすがに1発では、ちょうど良い薄さの紙は出来ないか。


何度か試してコツが分かったから、大きな紙を20枚くらい作った。

A4サイズに切り取れば、1枚の大きな紙から10枚くらい作れるはずだ。



「にゃんこさ~ん、ただいま~。

わ! 見たことのない羊皮紙があります~」


「アウレネや、待っておくれ。

よいしょ」



アウレネはひょいと壁を乗り越えてきた。

シルフ婆さんは石壁に立てかけたハシゴを使って壁を越えてくる。


もう日が落ちる時間か。

そろそろ夕食を作らないと。



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